『ほら、伝説の泉の精霊として多くの人間から認知され崇め奉られたら、私の精霊としての位階も盤石なわけでしょ?』
「その言い方だと、精霊の位階ってのは下がることもあるのか?」
俺はふと気になったことを尋ねてみた。
するとウンディーネがグワッと話題に食いついてくる。
『そう、そうなのよ! 私ってば今は最上位のSランクなんだけど、信仰心とか知名度が年々下がり気味で、次の「精霊格付け会議」でそろそろAかA+ランクぐらいに格下げくらいそうなのよね。ああ、今からもう憂鬱だわ……』
「その『精霊格付け会議』ってのは?」
『年に一度ある上位精霊のランク付け会議のことよ。盟約の更新の直後に行われるの』
「ああそれで、ドリアードやウッドゴーレムたちを使って話題作りしようとしたわけか」
『そそ、そーゆーこと! 人間たちは盟約の更新をするためにアレコレ思い悩んで話題にするでしょ? すると私の知名度もバーンとV字回復して、つまりSランクをちゃちゃっとキープできるってわけ』
「今の話から察するに、盟約更新の直後に『精霊格付け会議』があるんじゃなくて、むしろその逆で『精霊格付け会議』の直前に、ウンディーネ自身が盟約の更新期限をセットしてるんだな?」
『あら、あんたってばほんと頭いいわね。私は頭のいい人間は好きよ?』
「そりゃどうも」
『ほんとほんと、冒険者よりも商売人にでもなった方がいいんじゃない? 見たところあんたってバフしか能がない戦闘力皆無のゴミカスクズザコ後衛タイプでしょ?』
「バッファーが不遇後衛職で役に立たないのは否定はしないけど、不遇後衛職でも俺は割と冒険者の自分が気に入ってるんだ」
『ふーん。まぁそれならそれでいいけど』
「すみませんケースケ様、今の会話ってつまりどういうことなんですか?」
アイセルがちょんちょんと俺の二の腕をつっつきながら尋ねてきた。
「ウンディーネは毎年『精霊格付け会議』の直前に古の盟約の更新を行うことで、Sランクの位階を維持するために必要な人間の信仰心や知名度を、短期的に水増ししてたんだよ」
「あ、なるほどそういうことですか。納得です」
「水の精霊ウンディーネだけに水増し疑惑ってな」
「え? あ、はい」
俺がうすら寒いジョークを言ってしまったせいで、アイセルが完全に真顔になりながら気のない相づちを打った。
ううっ、でも今のは上手いこと言ったと思ったんだけどなぁ……。
『ちょっと! 水増し疑惑とか人聞きの悪いこと言わないでよね! 私は極めて効率的にポイントを稼いでるだけよ!』
「物は言いようだなぁ……」
『あのね、考えても見なさい。同じ努力をするなら、結果が大きいほうがいいのは当たり前でしょ? 私は楽をしているんじゃないの。努力がよりよい結果を生み出すように、努力の仕方を正しく工夫してるのよ! これを知恵というの』
「なんかもう、意識が高いのか低いのかよく分からない発言だな……」
『高いに決まってるでしょ? 私は炎の魔神イフリートや神龍精霊ペンドラゴンに並ぶ最高位Sランクの精霊なんだから』
ウンディーネがものすごい自信満々で言い切った。
っていうか、今さらっと炎の魔神イフリートや神龍精霊ペンドラゴンみたいな神話級の精霊と同格とか言ってたけど、この子ってほんとに凄い最高位の精霊なんだな。
俺は目の前のちょっとアホそうな精霊がその実、超がつくほどの高位存在であることを改めて認識したのだった。
「その言い方だと、精霊の位階ってのは下がることもあるのか?」
俺はふと気になったことを尋ねてみた。
するとウンディーネがグワッと話題に食いついてくる。
『そう、そうなのよ! 私ってば今は最上位のSランクなんだけど、信仰心とか知名度が年々下がり気味で、次の「精霊格付け会議」でそろそろAかA+ランクぐらいに格下げくらいそうなのよね。ああ、今からもう憂鬱だわ……』
「その『精霊格付け会議』ってのは?」
『年に一度ある上位精霊のランク付け会議のことよ。盟約の更新の直後に行われるの』
「ああそれで、ドリアードやウッドゴーレムたちを使って話題作りしようとしたわけか」
『そそ、そーゆーこと! 人間たちは盟約の更新をするためにアレコレ思い悩んで話題にするでしょ? すると私の知名度もバーンとV字回復して、つまりSランクをちゃちゃっとキープできるってわけ』
「今の話から察するに、盟約更新の直後に『精霊格付け会議』があるんじゃなくて、むしろその逆で『精霊格付け会議』の直前に、ウンディーネ自身が盟約の更新期限をセットしてるんだな?」
『あら、あんたってばほんと頭いいわね。私は頭のいい人間は好きよ?』
「そりゃどうも」
『ほんとほんと、冒険者よりも商売人にでもなった方がいいんじゃない? 見たところあんたってバフしか能がない戦闘力皆無のゴミカスクズザコ後衛タイプでしょ?』
「バッファーが不遇後衛職で役に立たないのは否定はしないけど、不遇後衛職でも俺は割と冒険者の自分が気に入ってるんだ」
『ふーん。まぁそれならそれでいいけど』
「すみませんケースケ様、今の会話ってつまりどういうことなんですか?」
アイセルがちょんちょんと俺の二の腕をつっつきながら尋ねてきた。
「ウンディーネは毎年『精霊格付け会議』の直前に古の盟約の更新を行うことで、Sランクの位階を維持するために必要な人間の信仰心や知名度を、短期的に水増ししてたんだよ」
「あ、なるほどそういうことですか。納得です」
「水の精霊ウンディーネだけに水増し疑惑ってな」
「え? あ、はい」
俺がうすら寒いジョークを言ってしまったせいで、アイセルが完全に真顔になりながら気のない相づちを打った。
ううっ、でも今のは上手いこと言ったと思ったんだけどなぁ……。
『ちょっと! 水増し疑惑とか人聞きの悪いこと言わないでよね! 私は極めて効率的にポイントを稼いでるだけよ!』
「物は言いようだなぁ……」
『あのね、考えても見なさい。同じ努力をするなら、結果が大きいほうがいいのは当たり前でしょ? 私は楽をしているんじゃないの。努力がよりよい結果を生み出すように、努力の仕方を正しく工夫してるのよ! これを知恵というの』
「なんかもう、意識が高いのか低いのかよく分からない発言だな……」
『高いに決まってるでしょ? 私は炎の魔神イフリートや神龍精霊ペンドラゴンに並ぶ最高位Sランクの精霊なんだから』
ウンディーネがものすごい自信満々で言い切った。
っていうか、今さらっと炎の魔神イフリートや神龍精霊ペンドラゴンみたいな神話級の精霊と同格とか言ってたけど、この子ってほんとに凄い最高位の精霊なんだな。
俺は目の前のちょっとアホそうな精霊がその実、超がつくほどの高位存在であることを改めて認識したのだった。