「いえ、さっき2000ゴールドで買わされた中古の――」
ジロッ!
ウンディーネがにらんできたので俺は言い直しました。
「――こほん、落としたのは普通の斧です」
『あなたはとても正直者ですね。では正直者のあなたにはこの金の斧を差し上げましょう』
「え、ああ、はい、ありがとうございます?」
俺は中古の斧を失って、金ぴかの斧をゲットした!
もしかして本物の金でできてたり!?
そうだったらラッキー!
『はい、これで古の盟約の契約更新は完了よ、お疲れさん!』
ウンディーネが完全に素に戻った口調で言った。
「えっと、なんだったんだ今のロールプレイングは?」
『これはね、ちょっと前に木こりが泉に斧を落としたんだけど、さっきと同じ質問をされて『いや俺が落としたのは普通の斧だ』って正直に答えたの。それにいたく感激した私は、木こりに金の斧と精霊の加護を授けたわけ』
「あ、それ聞いたことあるかも。たしかその木こりは一国の王になるのよね。南部諸国連合のどこかの国のルーツがそんなだったような……」
古代研究が専門なシャーリーが、手のひらを軽くポンと合わせて言った。
ちなみに精霊の言うちょっと前とは、たいがい人間にとっては超がつく大昔である。
念のため。
このウンディーネもうら若き乙女の姿ではあるが、おそらく何百年――下手したら1000年以上生きているはずだ。
「そうそう。そして王となった木こりは、私に感謝を伝えに毎年会いに来るようになった――っていう、いと素晴らしき伝説を再現したものなのよ』
「つまりそれを再現することで、盟約の更新の儀式としているわけだな?」
『そーゆーこと、あなた人間のくせになかなか頭の回転が速いじゃない。私は頭のいい人間は嫌いじゃないわよ』
それにしても、古の盟約の更新ってそんなに長いこと続いてるんだな。
チラッとアイセルを見ると、太古のロマンを感じている様子で目をキラキラと輝かせていた。
「そりゃどうも、最高位の精霊にお褒めいただいて俺も光栄だよ。更新については分かったよ。だけど、じゃあなんでこんなことをしたんだ?」
『こんなことって?』
「ドリアードやウッドゴーレムを使って、ここに近づけないようにしていただろ? 盟約の更新ができないからみんな困ってたんだぞ?」
『ああそれね。実は話せば長いんだけど――」
「手短にね!」
「おいこらサクラ、こんなんでも長き時を生きる最高位の水の精霊なんだから、もうちょっと敬意を払おうな?」
『こんなんでも、とか言うあんたもたいがい失礼だっつーの!』
しまった、つい本音がポロっと口から滑って転がり出てしまった。
「悪かった。どうやら偉大な精霊のあまりに神々しい姿を見せられて、俺は少し動揺と混乱をしているみたいだ」
俺がこの場を取りなすために露骨なおべっかを使うと、
『あ、そういうことね。やれやれ、ただ存在するだけで相手の心を千々にかき乱してしまうだなんて、さすが私。オーラからして並の精霊とは違うもんね』
ウンディーネはとても素直に信じてくれて、事なきを得たのだった。
この子はとても素直な子みたいだね。
そういやエネルギー生命体である精霊は、存在が薄くなってしまうから嘘を付きにくいってドリアードが言ってたっけか。
ジロッ!
ウンディーネがにらんできたので俺は言い直しました。
「――こほん、落としたのは普通の斧です」
『あなたはとても正直者ですね。では正直者のあなたにはこの金の斧を差し上げましょう』
「え、ああ、はい、ありがとうございます?」
俺は中古の斧を失って、金ぴかの斧をゲットした!
もしかして本物の金でできてたり!?
そうだったらラッキー!
『はい、これで古の盟約の契約更新は完了よ、お疲れさん!』
ウンディーネが完全に素に戻った口調で言った。
「えっと、なんだったんだ今のロールプレイングは?」
『これはね、ちょっと前に木こりが泉に斧を落としたんだけど、さっきと同じ質問をされて『いや俺が落としたのは普通の斧だ』って正直に答えたの。それにいたく感激した私は、木こりに金の斧と精霊の加護を授けたわけ』
「あ、それ聞いたことあるかも。たしかその木こりは一国の王になるのよね。南部諸国連合のどこかの国のルーツがそんなだったような……」
古代研究が専門なシャーリーが、手のひらを軽くポンと合わせて言った。
ちなみに精霊の言うちょっと前とは、たいがい人間にとっては超がつく大昔である。
念のため。
このウンディーネもうら若き乙女の姿ではあるが、おそらく何百年――下手したら1000年以上生きているはずだ。
「そうそう。そして王となった木こりは、私に感謝を伝えに毎年会いに来るようになった――っていう、いと素晴らしき伝説を再現したものなのよ』
「つまりそれを再現することで、盟約の更新の儀式としているわけだな?」
『そーゆーこと、あなた人間のくせになかなか頭の回転が速いじゃない。私は頭のいい人間は嫌いじゃないわよ』
それにしても、古の盟約の更新ってそんなに長いこと続いてるんだな。
チラッとアイセルを見ると、太古のロマンを感じている様子で目をキラキラと輝かせていた。
「そりゃどうも、最高位の精霊にお褒めいただいて俺も光栄だよ。更新については分かったよ。だけど、じゃあなんでこんなことをしたんだ?」
『こんなことって?』
「ドリアードやウッドゴーレムを使って、ここに近づけないようにしていただろ? 盟約の更新ができないからみんな困ってたんだぞ?」
『ああそれね。実は話せば長いんだけど――」
「手短にね!」
「おいこらサクラ、こんなんでも長き時を生きる最高位の水の精霊なんだから、もうちょっと敬意を払おうな?」
『こんなんでも、とか言うあんたもたいがい失礼だっつーの!』
しまった、つい本音がポロっと口から滑って転がり出てしまった。
「悪かった。どうやら偉大な精霊のあまりに神々しい姿を見せられて、俺は少し動揺と混乱をしているみたいだ」
俺がこの場を取りなすために露骨なおべっかを使うと、
『あ、そういうことね。やれやれ、ただ存在するだけで相手の心を千々にかき乱してしまうだなんて、さすが私。オーラからして並の精霊とは違うもんね』
ウンディーネはとても素直に信じてくれて、事なきを得たのだった。
この子はとても素直な子みたいだね。
そういやエネルギー生命体である精霊は、存在が薄くなってしまうから嘘を付きにくいってドリアードが言ってたっけか。