数日後。
クエストの準備とあわせて、お菓子やらお酒やらのお土産の準備も終えた俺たちは、冒険者ギルドから借りた馬車に乗って南部のアルケイン地方へと向かっていた。
御者は当たり前のように俺がやっている。
なんかもう慣れた俺が御者をするのが当たり前、みたいな感じになっている今日この頃だけど、特に不満があるというわけではない。
むしろこうやってパーティの役に立てるのは、俺としてはとてもありがたかった。
なにせついこの間も、戦闘でみんなに迷惑かけたばっかりだからね……。
アイセルの生まれた村は森の中にあるので、近づくにつれてどんどんと緑が色濃くなっていくんだけど、
「なんか、思ってたより道が綺麗に整備されてるような……?」
俺は田舎という割にはやけに綺麗な道に、なんともチグハグな感じを受けて、思わずそうつぶやいていた。
街道を外れてもうだいぶん経ったというのに、いまだ道はしっかりと整備されているのだ。
普通、主要な街道以外の脇道はろくに整備されていないものだ。
今回みたいに街道を大きく外れて、森の奥深くまで入る道ともなれば草がぼうぼうで大きめの石が落ちていたって、なんら不思議じゃないはずなのに。
だっていうのに、完全に森の中に入ったというのに道は綺麗に均されているし、そもそもかなり広いし、道の脇にはご丁寧に一定距離ごとに置かれるマイルストーンまで設置される親切設計ときたもんだ。
完全に整備された主要街道ほどではないけれど、とても通りやすい道だった。
「ええっと……はい……」
しかしなぜか地元民であるはずのアイセルが、一番不思議そうにあたりをキョロキョロと見回していたのだ。
「どうしたんだアイセル? なにか気になることでもあったのか?」
「気になると言いますか、この辺りの景色がわたしの記憶と全然違うんですけど……」
「げっ、マジか? もしかして道を間違えたか? ちょっと前の分かれ道かな? 悪いシャーリー、そこに地図があるから取ってくれないか?」
「はい、ケースケ」
「サンキュー。えっと今はだいたいこの辺りのはずだろ……」
俺は馬車のペースを落とすと、ながら運転で地図を見始めたんだけど、
「あ、いえ。道はこれであってるはずです」
アイセルはそんなことを言ってきたのだ。
「ん? でも景色が記憶と違ってるんだろ?」
「周囲の景色はあってるんです。でもこんな綺麗な道じゃありませんでした。もっと狭くて、それに地面もでこぼこしていたはずです。石とかもけっこうそのままで」
「……ってことは整備工事でもあったのかな?」
「こんな辺鄙な、森の中の村へと続く道をですか?」
「でも辺鄙って言うわりに、意外とさっきから人や馬車とすれ違うんだよなぁ」
俺はそれも疑問だった。
この道、割と人通りあるよね?
「それも不思議なんですよね。なんの用事があって皆さんこの道を通ってるんでしょうか? だってこの道はこの辺りの村々をつなぐ生活道路で、最後の村まで行くとそこの先は獣道になるんですよ?」
「確かにそれはとても謎だな」
「謎ですよね……」
俺とアイセルがうんうん頭を悩ませていると、
「この先になんかいい感じの観光スポットでもできたんじゃないの? ついでだから遊んで行こうよ!」
サクラが超適当なことを言って、
「道はあってるのよね? だったらとりあえずはこのまま進めば分かるんじゃない? 行き来する人の表情を見る限り、特に危険はなさそうだし」
シャーリーは冷静に分析をしてそう結論づけた。
「じゃあアイセルの村に寄った時に、ついでにその辺りのことも聞いてみるか」
俺はいったん疑問を棚上げすると、当初の目的地であるアイセルの故郷の村に向かって馬車を進ませることにした。
クエストの準備とあわせて、お菓子やらお酒やらのお土産の準備も終えた俺たちは、冒険者ギルドから借りた馬車に乗って南部のアルケイン地方へと向かっていた。
御者は当たり前のように俺がやっている。
なんかもう慣れた俺が御者をするのが当たり前、みたいな感じになっている今日この頃だけど、特に不満があるというわけではない。
むしろこうやってパーティの役に立てるのは、俺としてはとてもありがたかった。
なにせついこの間も、戦闘でみんなに迷惑かけたばっかりだからね……。
アイセルの生まれた村は森の中にあるので、近づくにつれてどんどんと緑が色濃くなっていくんだけど、
「なんか、思ってたより道が綺麗に整備されてるような……?」
俺は田舎という割にはやけに綺麗な道に、なんともチグハグな感じを受けて、思わずそうつぶやいていた。
街道を外れてもうだいぶん経ったというのに、いまだ道はしっかりと整備されているのだ。
普通、主要な街道以外の脇道はろくに整備されていないものだ。
今回みたいに街道を大きく外れて、森の奥深くまで入る道ともなれば草がぼうぼうで大きめの石が落ちていたって、なんら不思議じゃないはずなのに。
だっていうのに、完全に森の中に入ったというのに道は綺麗に均されているし、そもそもかなり広いし、道の脇にはご丁寧に一定距離ごとに置かれるマイルストーンまで設置される親切設計ときたもんだ。
完全に整備された主要街道ほどではないけれど、とても通りやすい道だった。
「ええっと……はい……」
しかしなぜか地元民であるはずのアイセルが、一番不思議そうにあたりをキョロキョロと見回していたのだ。
「どうしたんだアイセル? なにか気になることでもあったのか?」
「気になると言いますか、この辺りの景色がわたしの記憶と全然違うんですけど……」
「げっ、マジか? もしかして道を間違えたか? ちょっと前の分かれ道かな? 悪いシャーリー、そこに地図があるから取ってくれないか?」
「はい、ケースケ」
「サンキュー。えっと今はだいたいこの辺りのはずだろ……」
俺は馬車のペースを落とすと、ながら運転で地図を見始めたんだけど、
「あ、いえ。道はこれであってるはずです」
アイセルはそんなことを言ってきたのだ。
「ん? でも景色が記憶と違ってるんだろ?」
「周囲の景色はあってるんです。でもこんな綺麗な道じゃありませんでした。もっと狭くて、それに地面もでこぼこしていたはずです。石とかもけっこうそのままで」
「……ってことは整備工事でもあったのかな?」
「こんな辺鄙な、森の中の村へと続く道をですか?」
「でも辺鄙って言うわりに、意外とさっきから人や馬車とすれ違うんだよなぁ」
俺はそれも疑問だった。
この道、割と人通りあるよね?
「それも不思議なんですよね。なんの用事があって皆さんこの道を通ってるんでしょうか? だってこの道はこの辺りの村々をつなぐ生活道路で、最後の村まで行くとそこの先は獣道になるんですよ?」
「確かにそれはとても謎だな」
「謎ですよね……」
俺とアイセルがうんうん頭を悩ませていると、
「この先になんかいい感じの観光スポットでもできたんじゃないの? ついでだから遊んで行こうよ!」
サクラが超適当なことを言って、
「道はあってるのよね? だったらとりあえずはこのまま進めば分かるんじゃない? 行き来する人の表情を見る限り、特に危険はなさそうだし」
シャーリーは冷静に分析をしてそう結論づけた。
「じゃあアイセルの村に寄った時に、ついでにその辺りのことも聞いてみるか」
俺はいったん疑問を棚上げすると、当初の目的地であるアイセルの故郷の村に向かって馬車を進ませることにした。