傭兵王グレタの御霊を無事に鎮魂することができた俺たちは、2日の休養をとった後、次なるクエストに挑むべく戦略会議室(屋敷の居間ね)に集まった。
「次のクエストは『精霊の森』に行こうと思う」
そこで発した俺の言葉に、
「精霊の森って――」
アイセルがいの一番にピクッと反応を見せた。
だがそれもそのはず。
「ああ、今回の行き先はアイセルの故郷のアルケイン地方だな」
「やっぱり!」
精霊の森があるのはパーティ『アルケイン』の名前の由来でもある、アルケイン地方なのだった。
「アイセルにとっては凱旋ってことになるのかな? せっかくだしアイセルの生まれた村にも寄ってみるか」
「いいんですか?」
「アイセルの故郷の近くまで行くんだし、寄らない理由もないだろ? アイセルは長いこと実家には顔を見せてないんだよな?」
「は、はい。3年前に村を出て以来、一度も帰ってないです……」
アイセルがちょっとだけさみしそうな顔を見せた。
「だったらちょうどいい機会だ。アイセルのご両親も、すっかり有名になった娘の晴れ姿を見てみたいだろうし」
「あ、私もアイセルさんの生まれたところを見てみたいかも!」
「アタシも興味あるなぁ」
この提案にはサクラとシャーリーも乗り気のようだった。
「じゃあ満場一致ってことで。先にアイセルの生まれ故郷の村に寄ってから、クエストに取りかかろう」
「皆さん、ご協力ありがとうございます」
アイセルが声を弾ませて言いながら、折り目正しくお辞儀をした。
「もう、いいっていいって!」
そしてサクラが進行役の俺を押しのけるようにしゃしゃり出てくると、俺たちを代表してそんな風に答える。
いやみんな同じ気持ちだからいいんだけどね?
「でもでも特に何もない小さな村ですよ? 森の中の開けたところにぽつんとある感じなので、多分期待するようなものは何もないかなぁって……」
「あれ? エルフは手先が器用だから、精緻な工芸品を作ってるんじゃないのか? 王侯貴族に人気なのはたいがいが、エルフの職人が作った物だって話を聞いたことがあるんだけど」
「えっと、うちの村はいたって平凡な、やや貧しいくらいの村なので……」
「それはそれで風情があるんじゃないかしら?」
シャーリーが言って、
「私も中央都市ミストラル育ちだから、田舎の村とかほとんど行ったことがないだよねー。だからとても興味ある感じ?」
サクラも似たような意見を言った。
「よく考えたらシャーリーもサクラも、どっちもいいとこのお嬢さまなんだよな」
たしか社交界で顔を合わせたことがあるとか、そんな会話もしていたっけか。
逆に俺はアイセルと似た感じで小さな町の生まれだから、実のところ田舎の町とか村がそんなにいいとは思わないんだよな。
だって小さな町とか村ってほんとに何もないんだよ?
人も少ないし。
初めてでかい街に行った時とか本気でビックリしたもん。
人ってこんなにたくさんいたんだって。
あと何年やれるかわからないけど、冒険者を引退した後は俺的には大きな街に屋敷を構えて、お金の心配なく優雅に暮らしたいなぁ。
「まぁアタシはお父さんが冒険者ギルド本部のギルドマスターってだけで、生粋のお嬢さまじゃないけどね。実家が裕福なのは間違いないけど」
「あ、私は生粋のお嬢さまだからね、超バリバリの」
「生粋のお嬢さまは冒険者になろうとも思わないし、超バリバリとかも言わないだろ」
「お嬢さまも普段は言うし! 差別反対だし!」
「差別じゃなくて、ただの一般論だよ」
そんな風にいつも通りサクラと軽口を言い合っていると、でもサクラはちょっとだけ真面目な顔をして、言ったんだ。
「次のクエストは『精霊の森』に行こうと思う」
そこで発した俺の言葉に、
「精霊の森って――」
アイセルがいの一番にピクッと反応を見せた。
だがそれもそのはず。
「ああ、今回の行き先はアイセルの故郷のアルケイン地方だな」
「やっぱり!」
精霊の森があるのはパーティ『アルケイン』の名前の由来でもある、アルケイン地方なのだった。
「アイセルにとっては凱旋ってことになるのかな? せっかくだしアイセルの生まれた村にも寄ってみるか」
「いいんですか?」
「アイセルの故郷の近くまで行くんだし、寄らない理由もないだろ? アイセルは長いこと実家には顔を見せてないんだよな?」
「は、はい。3年前に村を出て以来、一度も帰ってないです……」
アイセルがちょっとだけさみしそうな顔を見せた。
「だったらちょうどいい機会だ。アイセルのご両親も、すっかり有名になった娘の晴れ姿を見てみたいだろうし」
「あ、私もアイセルさんの生まれたところを見てみたいかも!」
「アタシも興味あるなぁ」
この提案にはサクラとシャーリーも乗り気のようだった。
「じゃあ満場一致ってことで。先にアイセルの生まれ故郷の村に寄ってから、クエストに取りかかろう」
「皆さん、ご協力ありがとうございます」
アイセルが声を弾ませて言いながら、折り目正しくお辞儀をした。
「もう、いいっていいって!」
そしてサクラが進行役の俺を押しのけるようにしゃしゃり出てくると、俺たちを代表してそんな風に答える。
いやみんな同じ気持ちだからいいんだけどね?
「でもでも特に何もない小さな村ですよ? 森の中の開けたところにぽつんとある感じなので、多分期待するようなものは何もないかなぁって……」
「あれ? エルフは手先が器用だから、精緻な工芸品を作ってるんじゃないのか? 王侯貴族に人気なのはたいがいが、エルフの職人が作った物だって話を聞いたことがあるんだけど」
「えっと、うちの村はいたって平凡な、やや貧しいくらいの村なので……」
「それはそれで風情があるんじゃないかしら?」
シャーリーが言って、
「私も中央都市ミストラル育ちだから、田舎の村とかほとんど行ったことがないだよねー。だからとても興味ある感じ?」
サクラも似たような意見を言った。
「よく考えたらシャーリーもサクラも、どっちもいいとこのお嬢さまなんだよな」
たしか社交界で顔を合わせたことがあるとか、そんな会話もしていたっけか。
逆に俺はアイセルと似た感じで小さな町の生まれだから、実のところ田舎の町とか村がそんなにいいとは思わないんだよな。
だって小さな町とか村ってほんとに何もないんだよ?
人も少ないし。
初めてでかい街に行った時とか本気でビックリしたもん。
人ってこんなにたくさんいたんだって。
あと何年やれるかわからないけど、冒険者を引退した後は俺的には大きな街に屋敷を構えて、お金の心配なく優雅に暮らしたいなぁ。
「まぁアタシはお父さんが冒険者ギルド本部のギルドマスターってだけで、生粋のお嬢さまじゃないけどね。実家が裕福なのは間違いないけど」
「あ、私は生粋のお嬢さまだからね、超バリバリの」
「生粋のお嬢さまは冒険者になろうとも思わないし、超バリバリとかも言わないだろ」
「お嬢さまも普段は言うし! 差別反対だし!」
「差別じゃなくて、ただの一般論だよ」
そんな風にいつも通りサクラと軽口を言い合っていると、でもサクラはちょっとだけ真面目な顔をして、言ったんだ。