「しかもね、2人ともお父さんの前では完全に猫をかぶって、仲良しパーティメンバーを演じてたの」
「え、演じてた……」
「でも裏ではわずかな隙さえあれば相手を出し抜こうとするわ、姑息な足の引っ張り合いをするわ、モグラたたきのごとく相手のチャンスのつぶし合いをするわで、バチバチにやりあってて」
「え、あ、うん……」
「だからお父さんはパーティが崩壊寸前になるまで、2人の仲がそこまで悪いことにまったく気付いてなかったらしいのよ」
「一言だけ言わせてくれないか?」
「どうぞ?」
「オンオフはっきりしすぎだろ! そこまで行くと怖いよ!?」
「あはは、たしかにね。もちろん今はお父さんっていう共通の目標が手に入ったから、すごく仲はいいんだけど」
過ぎたるは及ばざるがごとし。
何事もやり過ぎは良くないという、俺は貴重すぎる人生の教訓を得ることに成功した……。
「でも歴代最強クラスと言われる伝説のSランクパーティが、実は男の取り合いで崩壊の危機にあったとか、そんな外には出せないヤバイ裏話はあまり聞きたくなかったなぁ……」
そりゃ誰しもプライベートでは色々あるんだろうけど、この話は冒険者にとってあまりにも切ないよ。
「なにせ当時のお父さんってば、めちゃくちゃモテたらしいのよね。背が高くてカッコよくて、しかも強くて頭が切れるSランクパーティのリーダーでしょ? どこぞの王女さまから求婚されたこともあったんだって」
「ううっ、あまりにチート過ぎてめまいがしてきそうだ……っていうかシャーリーのお父さんは王女さまの求婚を断ったのか? それもまたすごいな」
だって大出世とか玉の輿とかそういうレベルを通り越して、王族の一員になるんだぞ?
「んー、断ったっていうか、お母さんたちがいったん休戦して、仲良く手を取り合って妨害工作に励んだらしいのよね」
「だよな! 話の流れ的に、そんなことだろうと思ったよ!」
敵の敵は味方、戦略の基本中の基本だ。
王女という共通の敵が現れたことで、シャーリーのお母さんたちは一時休戦し、まずは目の前の強大な敵を撃退することを選んだのだろう。
そして共通の敵がいなくなった途端、今までの共闘が嘘のように、いや今まで以上に裏での争いが激化したんだろうなぁ。
お互いのやり口とかを図らずも共有しちゃっただろうし。
「そんなわけで。崩壊しかかったパーティを維持するためもあって、お父さんは3人でヨロシクすることを選んだみたい。もともとお父さんも2人のことはずっと憎からず思ってたみたいだから、そこは割とすんなりいったみたいね」
「なるべくしてそうなったわけか」
「だからお父さんに関しては気にする必要はないってわけ。どの口が言うのって言われたら、お父さん返す言葉がないだろうし」
「まぁそうだな」
自分が先駆者になってしまっている以上、何を言っても説得力はゼロである。
「じゃそういうことだから、さっき言ったことちゃんと考えといてよね。あ、この件に関しては後日返事を聞きに行くから、ノーコメントはやめてよ?」
「やっぱ聞きに来るのか」
「アタシ曖昧なままダラダラ先延ばしするのは好きじゃないから」
「なんでも白黒はっきりつけたがるのはシャーリーらしいな」
「それはアタシの魅力の一つだと思っているわ」
シャーリーが髪をかき上げながら自信満々に言った。
なんかもうほんとすごく様になっていて、
「そんなセリフも、シャーリーが言うとちっとも嫌味に聞こえないんだよな」
俺はただただ感心するしかないのだった。
「え、演じてた……」
「でも裏ではわずかな隙さえあれば相手を出し抜こうとするわ、姑息な足の引っ張り合いをするわ、モグラたたきのごとく相手のチャンスのつぶし合いをするわで、バチバチにやりあってて」
「え、あ、うん……」
「だからお父さんはパーティが崩壊寸前になるまで、2人の仲がそこまで悪いことにまったく気付いてなかったらしいのよ」
「一言だけ言わせてくれないか?」
「どうぞ?」
「オンオフはっきりしすぎだろ! そこまで行くと怖いよ!?」
「あはは、たしかにね。もちろん今はお父さんっていう共通の目標が手に入ったから、すごく仲はいいんだけど」
過ぎたるは及ばざるがごとし。
何事もやり過ぎは良くないという、俺は貴重すぎる人生の教訓を得ることに成功した……。
「でも歴代最強クラスと言われる伝説のSランクパーティが、実は男の取り合いで崩壊の危機にあったとか、そんな外には出せないヤバイ裏話はあまり聞きたくなかったなぁ……」
そりゃ誰しもプライベートでは色々あるんだろうけど、この話は冒険者にとってあまりにも切ないよ。
「なにせ当時のお父さんってば、めちゃくちゃモテたらしいのよね。背が高くてカッコよくて、しかも強くて頭が切れるSランクパーティのリーダーでしょ? どこぞの王女さまから求婚されたこともあったんだって」
「ううっ、あまりにチート過ぎてめまいがしてきそうだ……っていうかシャーリーのお父さんは王女さまの求婚を断ったのか? それもまたすごいな」
だって大出世とか玉の輿とかそういうレベルを通り越して、王族の一員になるんだぞ?
「んー、断ったっていうか、お母さんたちがいったん休戦して、仲良く手を取り合って妨害工作に励んだらしいのよね」
「だよな! 話の流れ的に、そんなことだろうと思ったよ!」
敵の敵は味方、戦略の基本中の基本だ。
王女という共通の敵が現れたことで、シャーリーのお母さんたちは一時休戦し、まずは目の前の強大な敵を撃退することを選んだのだろう。
そして共通の敵がいなくなった途端、今までの共闘が嘘のように、いや今まで以上に裏での争いが激化したんだろうなぁ。
お互いのやり口とかを図らずも共有しちゃっただろうし。
「そんなわけで。崩壊しかかったパーティを維持するためもあって、お父さんは3人でヨロシクすることを選んだみたい。もともとお父さんも2人のことはずっと憎からず思ってたみたいだから、そこは割とすんなりいったみたいね」
「なるべくしてそうなったわけか」
「だからお父さんに関しては気にする必要はないってわけ。どの口が言うのって言われたら、お父さん返す言葉がないだろうし」
「まぁそうだな」
自分が先駆者になってしまっている以上、何を言っても説得力はゼロである。
「じゃそういうことだから、さっき言ったことちゃんと考えといてよね。あ、この件に関しては後日返事を聞きに行くから、ノーコメントはやめてよ?」
「やっぱ聞きに来るのか」
「アタシ曖昧なままダラダラ先延ばしするのは好きじゃないから」
「なんでも白黒はっきりつけたがるのはシャーリーらしいな」
「それはアタシの魅力の一つだと思っているわ」
シャーリーが髪をかき上げながら自信満々に言った。
なんかもうほんとすごく様になっていて、
「そんなセリフも、シャーリーが言うとちっとも嫌味に聞こえないんだよな」
俺はただただ感心するしかないのだった。