「期限?」
「星名と付き合う。でも、卒業するまでね」
「……、わかりました」

 100%納得したわけじゃない。

 だけど……。そばにいられる猶予が伸びたことに、私は少しほっとしていた。

「でも先生。こういうときってふつう、『卒業してからな』って言いません?」
「そうなの?」
「……そうです」

 顔をしかめる私を見て、要先生がいたずらっぽく目を細める。

 大人なくせに、ごくたまに、子どもっぽい表情を見せる。私は、要先生のそういうところも好きだった。

 卒業まで、あと三週間。そのあいだは、私は要先生のそばにいられる。

 約束してくれた、卒業の日までは。