「あの……。明後日、行く? 向井(むかい)先生の告別式……」
「わからないけど……、行く……と思う」
「そうだよね……。でも、びっくりしたというか……。信じられないね。こんな、卒業前に……」
「うん……、信じられない……」

 昨日の夜遅くに、突然、学校からの緊急連絡網が回ってきた。

 私たちの学校の教員だった向井先生が、交通事故で亡くなったのだ。昨日は午後から雪が降っていて、帰宅途中だった向井先生は、スリップして歩道に突っ込んできた車に轢かれたらしい。

 三週間後に卒業を控えた私たちにとって、それはかなりショッキングなニュースだった。

 うつむく私と沖田くんのあいだに、少しの沈黙が流れる。

「あ……、ごめんね。引き止めて……。また、明後日に……」
「……うん」

 私は沖田くんと別れると、今度こそ音楽室に向かった。