その言葉が聞こえてきたと同時に背後からジャボジャボと私が歩いている時に立っている水音とは比べ物にならないほど大きく荒い水の音が耳に届く。
それでも、私は歩みを止めなかった。
もうどうでもよかったのだ。私はもう疲れた。
生きてる意味さえ、見つからない。
それならいっそ、大好きなあなたの元へ会いに行きたい。
「ハル……!!」
名前を呼ばれたと同時にぐいっ、と後ろから腕を引かれて身体がそのまますっぽりとあたたかいものに包み込まれた。
「やだ……!離して……!!離してよ……!!」
必死に抵抗するけれど、それは無駄をこねている子供のようで所詮、女の子の力では体が一回りも大きい男の子の力には敵わない。
どうして?
どうしてなの?
なんで自分の服がびしょびしょに濡れてしまうと分かっているのに君に酷いことをして傷つけた私のことなんて助けに来てくれるの?
「ハル……落ち着け……」
頭上から降ってくる穏やかで優しい声。
だけど、急いできてくれたからなのか息が少し乱れている。