ずっとずっと会いたかった。
これで、私が君のことを忘れなくても済むね。

また二人でいられるね。笑い合えるね。


「ハル……っ!」


突然、後ろから聞こえるはずのない声に名前を呼ばれ、思わず足を止めた。

だって……ありえない。
カイくんはもう、ずいぶん前に帰ったはずだ。

どうせ、幻聴だよ。
そんな都合よく、いるはずがないもん。

そう思い、止めていた足を再び動かす。
かなり歩いたからか、もう腰くらいまで体が水に浸かっている。

水圧で動かしにくく、鉛のように重い足をなんとか動かして前へ、ただ前へと進む。

これでいいんだよ。あと少し、あと少しで君に会えるから。
少し苦しいことくらい、耐えられる。


「ハル……っ、何してんだよ……!早く戻ってこい……!」


まだ遠くの方から私の名前を呼ぶ声が聞こえている。

なんでこんな時にカイくんの声なんか……。
私は今から渉くんのところに行くのに。


「待てって……!!」