バレていたんだろうな……。
私が彼を利用しようとしていたことに。

怒らなかったのは私の気持ちが今不安定なのも見抜いていたからなのかもしれない。

彼は人の気持ちに気づくのが早いから。
いつから私はこんなにも最低な人間になっちゃったんだろう……。

本当に私はバカだ。

カイくんの気持ちも考えずに自分のことばっかりで、あんなこと言われたら誰だって気持ちを踏みにじられた気分になるに決まっている。

最低な人間だ。
きっと、カイくんのことを傷つけた。


私の身勝手な感情のせいで。


「もう、疲れた……生きていたくない…」


ぽつり、とこぼれ落ちた本音はザーザー、と押しては返す波の音にかき消された。

真夏の太陽がジリジリと容赦なく私を照りつける。
額を流れる汗、目の前に広がるどこまでも続く果てしない深い青色。

私はしばらく何をすることもなく、ただジッと広大な海を眺めていた。

カイくんに謝らないと……酷いことしちゃった。