生まれた時からそばにいることが当たり前で、これからもそんな当たり前が続いていくのだと信じて疑わなかった。
だからこそ、別れが突然過ぎて二年もの月日が流れても未だに彼が死んでしまったという事実を信じきれていない自分がいる。
もしかしたら、明日、私のところにきて大好きな笑顔で笑ってくれるかもしれない。
また、『陽音』って優しい声色で呼んでくれるかもしれない。
そんなことを心のどこかで望んで、信じて、待っている私。
ありえないのに、期待してしまっている。
もう、叶うわけがないというのに。
「亡くなる命もあれば、生まれる命もある」
「……」
「人間ってそういうもんなんだよ。そう思わないと……やっていけないんだよ」
室さんは力なく笑い、愚痴をこぼすかのように、そっと口から言葉を吐き出した。
この人はまだ立ち直れていない。
私と一緒なのだ。
みんな、大切な人の死から立ち直ることなんて到底できない。
だけど、無理をしてでも自分を奮い立たせて生きているのかもしない。