生きていても無駄なんだ。
私は彼と違ってなにか夢があるわけでもなくて、生きていても価値のない人間なんだよ。
それに比べて、渉くんは昔からの夢をちゃんと叶えて周りからも将来を期待されていた。
これから人生が楽しくなっていくという時だったのに……どうして私なんかが生きているの?
どうして、私が生きていて渉くんはここにいないの?
どうして、彼はもうこの世界で息をしていないの?
どうして、天国なんかに逝ってしまったの?
そんな行き場のない想いが私の頭の中でグルグルと何度もループする。
「っ……!そんなこと言わないでくれ……頼む。アイツだって陽音ちゃんが幸せになることを……」
「だからなんだって言うの!?たとえ、彼が私の幸せを願ってくれていても私だけ幸せになるなんてできない……っ」
私が反抗すればするほど、室さんの表情は苦しいくらい悲痛に満ちた表情へと変わっていく。
「陽音ちゃん。アイツは陽音ちゃんのために……」
「そんな言葉、聞き飽きたの……っ。もし仮にそうだとしても私はずっと彼と一緒にいたかった……っ」
ずっと、ずっと一緒だと思っていたんだ。