こんなことが言いたいわけじゃなかった。
私だって本当は室さんだって辛かったことをわかっている。

全部、わかっているつもりなのだ。

彼にとっても自分を慕ってくれていた後輩であり、大切な親友の死を目の前にするのはあまりにも残酷で辛いことだ。
だけど、色んなことが重なりすぎてつい酷いことを言ってしまった。

こんなの室さんに八つ当たりしているのも同然だ。

おばさんにも忘れろと言われて、家族にも、親友にもそろそろ前を向いた方が言われて……それでも私の心を独占する彼への気持ちは消えてくれないし、もうどうしたらいいのか分からなかった。

一体、どうすることが正解なのか全てが難しすぎて今の私にはわからないんだ。


「ごめん。あのときは俺の力不足で……」

「なんで……なんで……?あのとき、私も残してくれたら良かったのに」


もうこれ以上、むやみに室さんを傷つけてはいけないと頭ではわかっているのに口が言うことを聞かない。

どうして?
どうして私だけ生きているの?
前を向く?

そんなの無理だよ。