私は自分の罪を軽くしようとして、人に押し付けるような最低なことをしているのだ。
悪いのは全部自分だというのに。


「あぁ……これか……。そうだな、今は幸せだよ」


先程とは違い、切なげに瞳を揺らしながらキラキラと光る指輪を見て、ぎこちなく笑った。

そんな顔をして欲しくて言ったんじゃないのに……私は本当にろくでもない人間だよ。


「きっと、彼も喜んでいると思います」


そうだよ。
大切な先輩であり、親友の結婚を向こうで祝福しているに違いない。

彼はそういう優しい人だから。
私とは比べものにならないくらい優しくていい人だったもん。


「……なぁ、陽音ちゃん」

「なんですか?」


室さんが遠慮がちに名前を呼んだ。
そんな彼の様子に私は少し身構えて彼の話に耳を傾けた。


「アイツのこと……まだ好き?」

「っ、」

「いや、好きなことは全然いいんだよ。でも、いつまでも過去に囚われてたら……」

「あなたに、何がわかるんですか?あなたは……っ、彼を見捨てて……っ!」


気づけば、酷い言葉たちが口からこぼれ出ていた。