こっちはあんたのせいで散々なんだからね。
「騙されてやがんの……アハハッ……!マジ腹いてぇ……」
「笑いすぎだし!こっちはびしょ濡れなんですけど!」
「悪かったって」
半笑いで言いながら肩から掛けていたタオルを私の頭の上にポンッと乗せた。
私のそのタオルを遠慮なく使わせてもらい、濡れた前髪と顔をゴシゴシと拭く。
その顔、絶対悪いと思ってないでしょ。
「ふっ……こういうところは遠慮しねぇのな」
「いや、だってそっちが仕掛けてきたんじゃん」
「だから、悪かったってば……ハハッ」
思い出し笑いなのかなんなのか知らないけれど、未だにけらけらと笑っているカイくん。
ムカつくのに、その笑顔が太陽のように眩しくてカッコいいなあ、と思ってしまっている自分を殴り倒したい。
「許さないし」
「お前は優しいから許してくれるよな?」
「許さないって言ったばっかりなんだけど」
そう言いながら、「はい」とタオルを返す。
「まあまあ。次はやんねぇって」
「はいはい」