拗ねたようにぴゅっと唇を尖らせるカイくん。
あなたは幼稚園児ですか……?と心の中で呆れながらため息をつく。

そして、さりげなく私の隣に来ると何の躊躇もせずに座った。


「そんなに可愛く言っても許さないし」

「まあまあそんなカリカリすんなって。ほら」


いや、あんたのせいでカリカリしているんだってば!
本当にマイペースなやつだなぁ。

カイくんは私に手を差し出してくれているけれど私はその手を取ることはせずに自分で砂浜にどしりと座った。


「冷たいうちに飲め」

「……ありがと」


ジュースを受け取ってフタを開けた瞬間、プシューと液体が溢れ出てきた。


「な、なによこれ!!」


服が濡れないようにとっさに避けたから少ししか濡れなかったけど、顔面は完全にアウト。

びしょ濡れ……。ただ息をしているだけでもジュースの匂いがプンプンするし最悪だ。
ムッとして、カイくんを信じられないという顔で睨みつけると彼は何が面白いのかケタケタとお腹を抱えて笑っていた。

笑ってる場合じゃないし!