「あっ、そうだ!私、係あるの忘れてた!!」
「そうなんだ!じゃあ、またあとでね!」
江奈は慌てながらも私に笑顔を向けて、ポニーテールをゆらゆらと揺らしながら走り去っていった。
彼女から視線をゆるりと前に移す。目の前に広がるどこまでも青く澄んだ海は空の色を映して深く沈み、静かに波を立てている。
どこまでも果てしなく続いていて、終わりが見えない。
この海は空と同じで世界中と繋がっているんだろうか。
なんか……不思議だな。と、考え込んでいたときに冷たいものが頬に触れた。
「ひゃあ……っ!」
驚いて声を上げ、パッと後ろを振り向くとカイくんが私の頬に冷たい缶ジュースを当てて、悪戯っぽく笑いながら立っていた。
「な、何するのよ……!」
めちゃくちゃビックリしたし、驚かさないでよ……!
未だに心臓がばくばくと音を立てているのは驚いたせいなのか、それとも隣にカイくんがいるからなのかはわからない。
「いやー、たそがれてんなーと思って」
「そう思うならこんな事しないで放っておいてよ」
「だって、イタズラしたくなっちまったんだもん」