江奈がここまで私に踏み込んだことを言ってきたのは初めてだったからだ。

色んなことに踏み込んできても“あのこと”だけは踏み込んでこなかった。たぶん、その話をしたら私が嫌がることを分かっていたからだと思う。


「陽音がどうしてもっていうなら私はもう何も言わない。でも、もし、陽音が恋をしたら全力で応援したい」


やっぱり私の親友は誰にも負けないくらい優しい人だ。
こんなときでも私を見捨てることはしないのだから。


「ありがとう」


私、江奈と仲良くなれて本当によかったと改めて思った。

最高の友達だよ。


「最後に一つだけ言わせて?」

「ん?」

「どんなときも陽音は陽音だからね」


そういってニコッと愛嬌のある笑顔を浮かべた。

あー……なんだか泣きそうだ。
こんなにも想ってくれる親友がいるなんて幸せ者だ。

私は最低な人間なのにどうして周りはこんなにも温かくて優しい人たちばかりなんだろう。


「江奈……っ、大好きっ!」

「はいはい、私もだよ」


ぎゅっと抱きつくと江奈も私のことを強く抱きしめた。だけど、すぐに体を離した。