耳元で流れる音楽もやりとりのせいで全く耳に入ってこない。
こんなの聴いてる意味あるのかな?というか、もうさっきの曲は終わってほかの曲になっている。
「ハルは素直じゃねぇな」
「もう!そっちが勝手すぎるんでしょ!」
なんでも自分の考えで決めちゃってさ、私の意見なんてまるで無視じゃない!
そうやって、真っ直ぐにぶつかってこられると、必死で保っている自分が壊れてしまいそうで怖いのだ。
「だって、呼んでほしいじゃん」
「知らないよ、そんなの!」
なんで私はこんな会話をしているんだろう。
極力、誰とも関わらないでいようと思っていたのに。
本当は心のどこかでこの時間が楽しい、と思ってしまっている自分を隠すかのように私はイヤホンを外して彼に言葉をぶつけた。
「ていうか、もう私に近づかないで。気安く話しかけても来ないで」
これくらい言えばいいでしょ。
もう私のことなんて嫌いになったでしょ?
お願いだから、私に関わらないで。
「おいっ……!」
私は席から立ち上がって、教室を飛び出した。
後ろから声がしたけれど、無視して屋上へと走った。