友達と一緒にいるときは普段もこうして笑っているのかもしれないけれど。

私は滝沢くんのことを何も知らないから。

もちろん、滝沢くんもわたしのことなんて深くは知らない。お互い、信頼関係もまるでない不思議な関係なのだ。


「お前、おもしれぇな。超必死じゃん……アハハッ……!」

「わ、笑わないで!!」


なんで私が笑われなきゃいけないのよ!

毎日、振られても何とも思ってないのかな?

それとも、もう慣れちゃったとか?

私なら毎日振られているのに告白なんてできないけれど。


「最近、楠川さんってば滝沢くんと仲良くしすぎじゃない?」

「ほんとそれー。普段は人と関わらないくせにね」


少し離れたところに座っている女子たちがこちらを睨みながら愚痴を言っているのが聞こえてきた。

わざと聞こえるような声で言うところが悪の塊だなぁ……と心の中でため息をつく。

でも、私は言われて当然だ。

反論する理由もないし、悪口を言われる運命ならそれに逆らわず受け入れなきゃいけない。

それが、今の私にできることだから。せめてもの、罪滅ぼしだ。

今日、江奈は部活の全国大会で公欠している。だから他に頼れる人もいない。