【陽音side】


「なぁ、楠川。俺、お前のことが好き」

滝沢くんに初めて告白されてから二週間ほどが経ったお昼休み。
彼は宣言通り、あの日から毎日私に告白してくる。

しかも隣の席だからやたらと話しかけてくるし、クラスの女の子から目の敵にされているのは間違いない。


「毎日、告白なんてしてこないで。返事は変わらないんだから」

「いいだろ。それくらい好きなんだから」


何度振っても、滝沢くんはめげずに告白してくる。
あんたは一体どんなメンタルしてんのよ……!とでも言ってやりたくなる。


「私は恋なんてしないの。好きな人はもう作らないって決めたの」


だから、関わらないで。
滝沢くんの気持ちには応えられないんだから。

これ以上、私の中に入ってこようとしないでよ。


「それは違うぞ、楠川。恋っていうのはするもんじゃなくて、落ちるもんなんだよ」


少し得意げな表情をしながら言った滝沢くん。

なによ、偉そうに。
そんなの一度はどこかで聞いたことあるような言葉じゃん。

それを、さも自分が初めて言いましたみたいな顔していうのはやめてよ。


「そのドヤ顔ムカつく」

「俺の顔が整いすぎてるからって妬み?」

「違うし!何いってんの!」


私が慌てて反論すると、何が面白かったのかケタケタと笑い出した滝沢くん。

そういえば、こんなにも笑っている滝沢くんを見たのは初めてかもしれない。