家の扉を開けて中に入ろうとした楠川を見届けて俺はクルリと180度回転して、来た道をまた歩き始めた。
「あ……ありがとうっ……!」
突然、後ろから声がして慌てて後ろを振り返れば楠川が俺の方を向いていて、恥ずかしそうに俯いていた。
「それだけだから……!」
そういうと、顔を真っ赤にさせて家の中に入っていった。
不意打ちなんて……アリかよ。
やっぱり、俺の好きな人は優しい人だ。
どんなに変わってしまっても俺は君が好き。
それだけはこの先も変わらない。
熱くなっていく顔、緩む頬。
口を手で抑えてニヤける顔を隠しながら心の中でガッツポーズをしてコンビニに向かった。
なぁ、楠川。
俺はお前のすべてを知っても好きだよ。
全部、俺が受け止めてやるから。
だから……俺を頼ってくれよ。
お前が何度転んでも俺が君に手を差し出すから。
たとえ、暗闇に迷ったとしても俺が必ず見つけ出してやる。