手に届く場所にいるのに、生きているのに、自分の想いを伝えられないなんてもう嫌だから。私はもう後悔したくない。
カイくんとなら、どんな困難があろうともきっと二人で乗り越えていけると思ったんだ。だから、私は君がいい。いや、君じゃないとダメなんだ。
「楠川さん、何回聞いても俺らは言わないよ?」
「そうそう。つーか、快人だってめんどくさくなったから学校に来なくなったんだって」
何回、何十回はぐらかされようと、私はめげない。
カイくんがめげずにひたむきに私のことを想って、真っ直ぐにぶつかってきてくれていたみたいに今度は私が君を想う番。
「カイくんはそんな人じゃないよ。それは二人が一番知ってるじゃん……!」
「っ……。まあね」
「私、まだカイくんに自分の気持ち伝えられてないの!」
「「え?」」
私の言葉に二人は驚いたように声を上げて、目を大きく見開いた。
カイくんに私の気持ちを伝えるつもりだった。
でも、君に会えなくなってしまった。
どこにいるのか、何をしているのかもわからない。
君の顔見て話せること、君に「おはよう」と言えること、君と何気ないことで笑い合えること、君としょうもないことで言い合えること。
それは全部、君に会えていたからだった。