一人で舞い上がって勝手に喜んで、勝手に落ち込んで、バカみたいだ……。


「あと、消毒」


そう言うと、私の頭にちゅっと軽くキスを落として、平然とした様子で教室へと戻っていった。

どうして……?
どうして突き放すくせに優しくするの?
なんで私のことを惑わすの?

もう、カイくんが分からないよ。

両手で頭を抑え、その場にヘナヘナとしゃがみこんだ。

こんな気持ちのまま、教室に戻ってしまえば私はきっとクラスのみんなにもぎこちなく接してしまうだろう。

だから、少しだけ心を落ち着かせてから戻ろう。

ふぅ、と深呼吸を3回ほど繰り返してから教室に戻り、何もなかったかのように自分の仕事を始めた。

大丈夫、大丈夫。泣かない。絶対に。

こんなの、全然平気だと自分の心に何度も言い聞かせる。

じゃないと、今にも泣き出してしまいそうだったから。

好きな人に突き放されるってこんなにも辛いんだ。
それがいまさら分かるなんて私は本当にバカだ。

カイくんは私が何度も突き放しても変わらない笑顔を浮かべて私に接してくれたのに、私はすぐに傷ついて嘆いている。

こんなことで落ち込んでいてどうするの。

私の恋はまだ終わっていない。
君にこの想いを伝えていないから。
明日、君に伝えよう。

そう心に決めて、作業に集中した。