「お前は隙がありすぎんの。それ、分かってんの?」


肩をドンッと押されて、冷たい壁に押し付けられる。

顔のすぐ横にカイくんが肘をついていて、彼の整った顔がもうすぐそこにある。あまりに近い距離にトクントクンと鼓動が心地いい音を立て始める。

こ、これって……どういう状況?


「わ、分かってるよ?」


そう言った瞬間、彼の綺麗な顔がさらにずいっと近づいてきて、あとほんの数センチで唇が重なってしまう、というくらい近づけたところで動きを止めた。


「か、カイくん……?」


やばい。喋るたびに唇が触れそうで私の顔は今見なくても真っ赤に染まっているだろう。どんどん速くなる鼓動。心臓が口から飛び出てしまいそうだ。


「ほら、お前に隙があるからこうやってあとちょっとでキスだってできるんだぞ」

「っ、」


カイくんの吐息が、唇にかかり、それが私の全てを甘く麻痺させる。

なんか、頭がクラクラしてきた。

今までこんなふうに迫られたことなんてなかった。

カイくんはこんな顔もできるんだ。なんて、余裕のない頭で考える。


「もっと、しっかりしろよ。友達として、忠告しといてやる」

「……」


そうだよね。

自惚れるのもいい加減にしなくっちゃ。
私たちは所詮、“友達“だもんね。