告白を断ってもしつこいくらい何度も話しかけてくるし、すごく鬱陶しくて、なんなんだろうって思っていた。

でも、今は君が好きで好きで仕方なくて君がいない生活が寂しく感じちゃうなんて。前とは真逆になっちゃったね。


「なぁ、ハル。ちょっと来い」


頭上から大好きな人の声が降ってきて弾けたように顔を上げると、不機嫌そうに眉間にシワを寄せたカイくんが立っていた。

名前を呼ばれただけなのに心臓がばくばくとうるさいくらい音を立てていく。

平常心だ、平常心。


「どうしたの……?」


廊下に呼び出されたのはいいけれど、先ほどからカイくんは一言も話さない。

沈黙が気まずくて私から言葉を発した。


「何も無いなら作業あるから……戻るね」


文化祭までそんなに時間もないし、みんなにも迷惑がかかってしまう。

呼び出されたことは嬉しかったけれど、何も話さないんじゃ意味もない。

私からカイくんにないか話せることがあるかと言われれば、それもない。好きでもないやつにくだらない話なんてされても嫌だろうし。

まあ、カイくんが私のことを呼び出した理由は不明なままだけど。

なんて考えながら教室の扉に手をかけた瞬間、横から腕が伸びてきて腕をがしっと掴まれ、動きを制された。


「……簡単に他の男に触らせてんじゃねぇよ」

「え?」