その笑顔に先程まで抱いていた不安はあっさりと吹き飛んでしまった。私が深く考えすぎてしまっていただけだったみたい。


「え、ほんとに?いいの?」

「うん。任せてよ」


それは本当に助かる。
ついさっき、男の子の採寸をどうしようかと江奈たちと話していたところだったから。

思春期真っ最中の男女が採寸はあまりよろしくない気がしていたし。ちょうど良かった。


「ありがとう!」

「どういたしまして」


その男の子を見て言ったつもりが後ろの方で作業していたカイくんと何故かバチッと目が合ってしまった。

その表情はこの位置からでもわかるほど酷く不機嫌そうで、どうしてそんな顔をしているのか私には分からなかった。

視線が絡み合ったのは一瞬でふいっと彼はすぐに私から目を背けた。

あれ……私、なんかした?

いや、でも今日は何も話していないし、怒らせるようなこともしていないつもりだ。一体なんだったんだろう。

消化できないモヤモヤが胸の中にじわじわと湧いてくる。

はあ、考えてもわかんないや。

そう思い、布を予め用意している型に沿って切っていく。

カイくんの笑顔が見たい。
カイくんの声が聴きたい。

ふと、そんなことを思った。