そう頭では分かっているのに瞳からぽろりと涙がこぼれ落ちた。
心のどこかで無意識にカイくんのことを求めている。
毎日のように話しかけてくれたあの優しさが消えない。
私の心の中に刻み込まれている。
私はまだ君に好きだと伝えられていない。
声にできていない想いがある。
「陽音、辛いときは泣いてもいいんだよ」
江奈の優しい声が気を張っていた心を解いていく。
『俺がお前の泣き場所になってやる』
そう言ったくせに……私を一人置いてかないでよ。
「うぅ……っ、カイくんの嘘つき……っ」
友達としてでもいいから、そばにいてよ。
友達としてでもいいから、抱きしめてよ。
友達としてでもいいから、好きって言ってよ。
私はもうカイくんがいないとダメだよ。
やっと彼を思い出にすることができてきたというのに君はどうして私の前からいなくなっちゃうの?
江奈がそっと私を抱き寄せてくれる。そんな彼女の胸の中で小さな子供のようにわんわんと泣いた。
止めどない君への想いが溢れてきて、それが涙へと変わっていく。
ねえ、好きだよ。カイくん。