気持ち悪いやつ見たいになるけれど、想像するだけで鼻血が出てきてしまいそうだ。


「……だな」

「楽しみだね〜!」


満面の笑みを浮かべてウキウキとしている彼女。

楽しみ、か。
そうだよな、高校生活最後の文化祭だもんな。

本当に楽しそうにしているハルを見ているだけで沈んでいた気持ちが自然と上を向いて俺まで頬が緩む。

嫌なことも全部吹き飛ばしてしまうくらい眩しいその笑顔を俺はずっと見ていたい。

君がまた心の底から笑えるようになって本当によかった。

たとえ、想いが通じ合うことがないとしても俺は君に笑顔が戻っただけで満足だ。

まだ、一つ。
君に伝えていないことがあるのは秘密。

これだけは言えない。絶対に。
ハルを悲しませるわけにはいけないから。
俺は、もう君のことを諦める。この恋を諦める。


「なぁ、ハル」

「ん?」

「俺ら友達だよな?」

「え?」


突然の言葉に目を丸くして、こちらを向く。


「これからもずっと」


何か言われる前にそう言った。

“他人“というポジションにはできない自分に嫌気がさす。