ふっ、と自嘲ぎみに笑った。
その瞳は深い悲しみで染まりきっていて、どうやって手を差し伸べてあげるべきなのか、分からなかった。
だけど、これだけははっきりと言える。
「カイくんは優しくて強い人だから……きっと神様も味方をしてくれるよ」
今までたくさん傷ついて、苦しんだ。
だから、もうすぐ神様が君に奇跡をくれる。
私は、そう信じていたい。
「……ありがとな。ハル」
そう言って柔らかく笑った彼の顔は涙でぐしゃぐしゃだったけれど、その瞳には少しだけまばゆい光が宿っていた。
後からカイくんに聞いた話によると、カラオケに行く予定だった日に彼が急いで帰ったのは病院から電話があって、悠未さんが『こんなのもう嫌なの!』と病室で泣き叫んで大変だったからだそうだ。
まだ、悠未さんは40代らしい。
色々とやりたいことも、見たい景色もたくさんあるのだろう。
そんな中で施設に入るのは相当苦痛なはずだ。
世界中に泣き叫びたい気持ちもなんとなく分かる。