私も良くしてもらっていて、それなりに話したことがあり、我にもすがる思いで室さんにしがみついた。


『室さん……!渉くんを助けてください……!!』


先程よりも、呼吸も弱くなっているように思える。

きっと、肺を圧迫されているから上手く呼吸ができなくて辛いのだろう。

今の君の状況を見ているだけで、じんわりと涙が滲んでくる。

ごめんね……渉くん。
今助けるから……待ってて。


『渉、陽音ちゃん……っ!大丈夫か!?』


室さんが目の前に広がっている悲惨な状況をみて、すぐに彼に駆け寄った。そして、彼を助けようと歯を食いしばって瓦礫を持ち上げようとするけれど、重いコンクリート作られているのかちっとも持ち上がらない。

大人数で持ち上げないとダメなのかもしれない。
役には立たないと分かっていても、目の前で何もせずに見ていることができなかった私も加わって、持ち上げようとするけれど、それでも瓦礫は動かず、ダメだった。


『……室さん、俺はいいから……陽音を……』


振り絞るような、今にも消え入りそうな声で彼が言った。


『なに言ってるの……!私は置いていかないから……!』