その代わり、私を助けた渉くんが下敷きになってしまったのだ。

どうしよう、私のせいだ。

肺の辺りまで大きな瓦礫に挟まれていて、動かそうとしてもビクリともしない。

彼を助けるために何度、瓦礫を持ち上げようとしても、全く持ち上がらない。

なんで……っ、お願い……持ち上がってよ……!!


『はる、ね……お前……腕……』


途切れ途切れに言葉を紡ぐ渉くんはかなり弱っていることが一目見てわかる。

早く……早く助けなきゃ。
死んでほしくない……嫌だ……そんなの……。


『こんなの痛くもなんともない!』


先程の瓦礫が落ちてきた衝動で、腕を怪我してしまい、大量に血が出てきていたけれど、そんなことはどうでもよくなるくらい私は彼を助けたい一心だった。


『もう、持ち上がらない……陽音……逃げろ……』

『やだっ……!絶対助ける……!渉くんと一緒に帰る!』


自分でも訳がわからなくなるくらい涙が溢れ出て、目の前にいる渉くんの顔が歪んでいる。

置いていくなんて、絶対に無理。

渉くんと一緒に帰って……今度はちゃんと好きって伝えるから。

たとえ、振られたとしても……あなたのことがずっと好きですって伝えたいんだ。


『陽音……っ!』