そういえば拓馬くんがまだ小さかった時も同じようなことがあったな。
拓馬くんは幼い頃から運動ができて友達が多かった。
何でもすぐに口に出してしまったり、真っ直ぐな性格がゆえ喧嘩も多かった。
僕も拓馬くんに振り回されたな。
家に帰った瞬間僕のことを置いて遊びに行ったり僕に落書きしたり。
今はもちろん大好きだけど、体中が痛くてこの時ばかりは拓馬くんのことが嫌いになりかけたよ。

でも大きくなるにつれ自分の感情をコントールできるようになっていった。
もしかしたら妹の沙耶ちゃんが生まれたことも理由かもしれない。
とにかく、拓馬くんが成長するにつれ友達もさらにたくさんできるようになった。
今日みたいに喧嘩しても謝れる優しい子に育ってよかったな。
って僕めっちゃ親みたいじゃん。
拓馬くんはいい意味で子供っぽいから守りたくなっちゃうんだよなぁ。


「それでね、修弥と仲直りできたんだ!」
「あら偉いじゃない!さすが拓馬ね」
褒められた拓馬くんは嬉しそうに笑った。
「それとねこの前やった理科の小テストが返ってきて9点だったの!」
「あと1点で満点だったのか、惜しいな」
「ううん、100点満点のテストだよ?」
お母さんとお父さんの目が点になってる。
ずっと一緒にいるから拓馬くんのテストの点数は分かってたはずだったけど....
まさかここまでだとは....!
「拓馬、勉強は大切だ。真面目にしなさい」
「お父さんの言う通りよ。塾行く?」
「嫌だよ!俺友達と遊びたいもん。それに勉強よりも大切なものがあるでしょ?コミュニケーション能力とか」
確かに。一理ある。いやいやいやお父さんお母さんの言うように勉強も大事だ!
「でも...」
「とにかく俺行かないからね!!」