彼女と想いが通じ合ってから数日が経過した。依然として、僕らの関係は深まることもなく、友達の延長線上から少しはみ出た程度。
普段から仲良くしている友人の何人かには、ある程度事の経緯を話した。
みんなの反応はそれぞれだった。心配する者や羨ましがる者、そして止めてくれる者と。
彩音も友達には相談したらしいが、いい反応はされなかったらしい。そりゃそうだ。彼氏持ちが他の男を好きになったなんて、高校生の狭い恋愛観からするとおかしな話でしかない。
高校生が描いている恋愛観は、どれをとってもピュアなものばかり。それが、より一層大人になった時、美化された思い出として蘇ってくるのだ。
薄汚れた恋愛があるなど、高校生たちは知るはずがないのだ。まさに、この頃の僕らはそうだった。
浮気なんてものが存在する事自体が、頭の片隅にですら存在しなかった。
僕らは3年生に進級した。桜が校門付近で咲き誇り、校舎までのアスファルトの上を桜が絨毯のように埋め尽くす。
僕は彩音と同じクラスになった。しかし、張り出されたクラス分けの名簿には、悠斗の名前も刻まれていたんだ。
そう、僕らは3人揃って同じクラスになってしまった。俗に言う、三角関係。泥沼ってやつだ。
「おー、健大!同じクラスだな」
「悠斗・・・そうだね。彩音も一緒じゃん。よかったね」
本心だった。確かに彩音のことは好きだが、あくまでそれは気持ち上の話。別に悠斗から彼女を奪ってしまおうなんて気は、僕にはさらさら存在しなかった。
付き合わなくていいから。彩音から愛されていたい。たったそれだけだった。
「うん・・・そうだな」
歯切れの悪い回答に、悠斗から目を逸らしてしまう。
「うまくいってないの?」
「最近は、特にな。2年近く付き合ってるから、マンネリ化でもしてるのかもしれないな」
「そっか」
悠斗に背を向け、別の友達と3年3組と書かれた教室へと向かう。
背後では、悠斗が彩音に話しかけられて顔を少し歪めていたが、僕は見ないふりをしてとにかく足をすすめた。
今は一歩でも早くこの場を離れたかった。気まずかったからではない。2人が話している光景を見るのが、僕には耐えられないほど、僕の心は彼女の色に染まってしまっていたんだ。
そんなことに気が付けないくらい僕はバカではなかった。純粋な独占欲に僕の心が支配されそうになるのが、怖くて仕方がなかったんだ。
普段から仲良くしている友人の何人かには、ある程度事の経緯を話した。
みんなの反応はそれぞれだった。心配する者や羨ましがる者、そして止めてくれる者と。
彩音も友達には相談したらしいが、いい反応はされなかったらしい。そりゃそうだ。彼氏持ちが他の男を好きになったなんて、高校生の狭い恋愛観からするとおかしな話でしかない。
高校生が描いている恋愛観は、どれをとってもピュアなものばかり。それが、より一層大人になった時、美化された思い出として蘇ってくるのだ。
薄汚れた恋愛があるなど、高校生たちは知るはずがないのだ。まさに、この頃の僕らはそうだった。
浮気なんてものが存在する事自体が、頭の片隅にですら存在しなかった。
僕らは3年生に進級した。桜が校門付近で咲き誇り、校舎までのアスファルトの上を桜が絨毯のように埋め尽くす。
僕は彩音と同じクラスになった。しかし、張り出されたクラス分けの名簿には、悠斗の名前も刻まれていたんだ。
そう、僕らは3人揃って同じクラスになってしまった。俗に言う、三角関係。泥沼ってやつだ。
「おー、健大!同じクラスだな」
「悠斗・・・そうだね。彩音も一緒じゃん。よかったね」
本心だった。確かに彩音のことは好きだが、あくまでそれは気持ち上の話。別に悠斗から彼女を奪ってしまおうなんて気は、僕にはさらさら存在しなかった。
付き合わなくていいから。彩音から愛されていたい。たったそれだけだった。
「うん・・・そうだな」
歯切れの悪い回答に、悠斗から目を逸らしてしまう。
「うまくいってないの?」
「最近は、特にな。2年近く付き合ってるから、マンネリ化でもしてるのかもしれないな」
「そっか」
悠斗に背を向け、別の友達と3年3組と書かれた教室へと向かう。
背後では、悠斗が彩音に話しかけられて顔を少し歪めていたが、僕は見ないふりをしてとにかく足をすすめた。
今は一歩でも早くこの場を離れたかった。気まずかったからではない。2人が話している光景を見るのが、僕には耐えられないほど、僕の心は彼女の色に染まってしまっていたんだ。
そんなことに気が付けないくらい僕はバカではなかった。純粋な独占欲に僕の心が支配されそうになるのが、怖くて仕方がなかったんだ。