朝を迎えても僕は、昨日の彼女の寝言のことを考え続けていた。
所詮は寝言。そう頭では考えてもみたが、毎日電話をかけてくるあたりただの友達とは考えにくい。
ましてや、相手は彼氏持ち。彼氏がいるのに、好き以外の想いで異性に毎晩電話などかけてくるだろうか。
いや、絶対にあり得ない。そもそも彼氏がいるのに、彼氏以外に好意を寄せること自体が間違ってはいるが...
『おはよ〜。ごめん、寝落ちしちゃった!』
今日は、彼女も既に目を覚ましていたらしい。何と返事しようか冴えない頭で考える。
『私、昨日寝ぼけて変なこと言ってなかった?』
立て続けに送られてくるメッセージ。ここで、聞いてしまってもいいのだろうか。昨日、彼女が呟いた言葉を。
数分、ベッドの上に座ったまま考える。今日は、休日なので母から朝ごはんと呼び出されることはない。
時間はたっぷりある。若干寝不足気味だが、昼からの部活に備えてもう少しだけ寝ることだってできてしまう。
「よし、聞いてみよ」
画面の文字をフリックするたびにタッタッタと効果音が鳴る。慎重に言葉を選びながら、昨日彼女が寝言で話していた内容を綴る。
出来上がった文章を確認し、恐る恐る送信ボタンへと指を伸ばす。ポチッと押すと、僕の心境とは裏腹に簡単に彼女へと送られるメッセージ。
『昨日、寝言だと思うんだけど、僕のこと好きって言ってたけど・・・』
既読機能など必要ないとばかりに、すぐさま電話がかかってきた。
『え、うち本当に言ってた?』
「うん。本当に言ってたよ」
『マジか〜。伝えるつもりなかったのに』
「えっ?じゃあ、これって・・・」
『うん。うちさ、原くんのこと好きだよ。彼氏いるのにさ、こんなこと言われても困るよね。ごめん。だから、伝えたくなかったのに・・・あ〜、ほんっとばかだ』
「え・・・」
言葉が出なかった。薄々そうではないかと分かってはいたが、いざ本人に告げられるのとでは話は変わってくる。
正直、人から好意を寄せられること自体は嬉しい。これまでも何度かそういう経験はあったもののほとんどが、僕にとって恋愛感情が芽生えることのない人からのものだった。
自分でも気付いてしまった。僕自身の気持ちに。たぶん、今。いや、昨晩彼女から『好き』と言われた瞬間から僕の心は、彼女に夢中になってしまっていたのだ。
分かっている。好きでも彼女に恋をしてはいけないことくらい。でも、この感情を抑え切れるほど、僕はまだ大人にはなれてはいなかった。
『本当にごめんね。このことは忘れて・・・』
「僕も好きだよ」
恋に落ちてしまったら、人の欲望は抑えきれないのだと僕は知った。
僕らの恋は始まりを告げたが、確実に僕らは破滅までのカウントダウンを着実に刻み続けていた。
所詮は寝言。そう頭では考えてもみたが、毎日電話をかけてくるあたりただの友達とは考えにくい。
ましてや、相手は彼氏持ち。彼氏がいるのに、好き以外の想いで異性に毎晩電話などかけてくるだろうか。
いや、絶対にあり得ない。そもそも彼氏がいるのに、彼氏以外に好意を寄せること自体が間違ってはいるが...
『おはよ〜。ごめん、寝落ちしちゃった!』
今日は、彼女も既に目を覚ましていたらしい。何と返事しようか冴えない頭で考える。
『私、昨日寝ぼけて変なこと言ってなかった?』
立て続けに送られてくるメッセージ。ここで、聞いてしまってもいいのだろうか。昨日、彼女が呟いた言葉を。
数分、ベッドの上に座ったまま考える。今日は、休日なので母から朝ごはんと呼び出されることはない。
時間はたっぷりある。若干寝不足気味だが、昼からの部活に備えてもう少しだけ寝ることだってできてしまう。
「よし、聞いてみよ」
画面の文字をフリックするたびにタッタッタと効果音が鳴る。慎重に言葉を選びながら、昨日彼女が寝言で話していた内容を綴る。
出来上がった文章を確認し、恐る恐る送信ボタンへと指を伸ばす。ポチッと押すと、僕の心境とは裏腹に簡単に彼女へと送られるメッセージ。
『昨日、寝言だと思うんだけど、僕のこと好きって言ってたけど・・・』
既読機能など必要ないとばかりに、すぐさま電話がかかってきた。
『え、うち本当に言ってた?』
「うん。本当に言ってたよ」
『マジか〜。伝えるつもりなかったのに』
「えっ?じゃあ、これって・・・」
『うん。うちさ、原くんのこと好きだよ。彼氏いるのにさ、こんなこと言われても困るよね。ごめん。だから、伝えたくなかったのに・・・あ〜、ほんっとばかだ』
「え・・・」
言葉が出なかった。薄々そうではないかと分かってはいたが、いざ本人に告げられるのとでは話は変わってくる。
正直、人から好意を寄せられること自体は嬉しい。これまでも何度かそういう経験はあったもののほとんどが、僕にとって恋愛感情が芽生えることのない人からのものだった。
自分でも気付いてしまった。僕自身の気持ちに。たぶん、今。いや、昨晩彼女から『好き』と言われた瞬間から僕の心は、彼女に夢中になってしまっていたのだ。
分かっている。好きでも彼女に恋をしてはいけないことくらい。でも、この感情を抑え切れるほど、僕はまだ大人にはなれてはいなかった。
『本当にごめんね。このことは忘れて・・・』
「僕も好きだよ」
恋に落ちてしまったら、人の欲望は抑えきれないのだと僕は知った。
僕らの恋は始まりを告げたが、確実に僕らは破滅までのカウントダウンを着実に刻み続けていた。