ひとまず家に着いてから、彼女からのメッセージを確認する。メッセージが送られて来てから既に、25分が経過してしまっていた。
急ぎの内容だとしたら申し訳ないが、運がいいことに残りの信号には引っかかることなく家まで帰ることができてしまった。
メッセージを開く。
『今日の夜、電話しない?相談したいことがあるんだけど』
珍しい。彼女が僕に相談してくることなんて、この1年間一度もなかった。それに、相談と言っても彼女には大勢の友達や親友もいるだろうに、なぜ僕なのだろうか。
頼まれたからには断れないし、特に今日は用事もなかったので了承のメッセージを送って携帯を机の上に置いた。
電話をしなければ僕の高校3年生の1年間は大きく変わっていただろう。特に苦しむこともなく、平和に青春を謳歌できていたかもしれない。
夕食と入浴を手っ取り早く済ませ、自室で彼女と電話をする予定の21時半まで待機する。
現在の時刻は21時15分。あと少ししたら、彼女から電話がかかってくるはず。
ベッドに置かれた携帯を見つめるたびに、何の相談なのかと身構えてしまう。特に彼女が何かに悩んでいる様子なんて...
「飲み物でも取ってこようかな」
ベッドから床へ足を伸ばそうとした瞬間、携帯から着信音が部屋に鳴り響く。
携帯に表示された名前は、永木彩音。慌てて携帯を手に取り、通話ボタンをタップする。
慌てていたあまり、ベッドの足部分に右足の小指をぶつけてしまった。かなりの痛みに悶えながら、彼女の声をひたすら待つ。
『もしもし、ちょっと早くかけちゃったけど大丈夫そ?』
「あぁ・・・うん。だ、大丈夫」
痛すぎるあまり僕の声は僅かに震えてしまった。
『どうしたの? もしかして、電波悪い?』
「あぁ、そうかもしれないね。ちょっとWi-Fi切ってみるよ」
助かった。何とか誤魔化すことには成功した。慌てた拍子に小指をぶつけたなんてダサすぎる。
『なんか、普段学校で話してる声と違って聞こえる。こんな声してんだね』
「それはこっちも同じだよ。ところで、相談って何なの?」
『最近さ、私たちあまり上手くいってないんだよね〜。何か聞いてる?』
相談内容が何のことなのか、一瞬で分かってしまった。むしろ、電話をする前から薄々気付いてはいた。
「んー、特には何も聞いてないよ」
「そっか〜。とりあえず、暇だからこのまま電話付き合ってよ。寝るまででいいからさ』
「分かった。寝るまでね」
周りが夜に包まれ静かになっていくのに、僕らは益々話に花を咲かせていった。気付けば、時計の長針は0を余裕で回ってしまっていた。
急ぎの内容だとしたら申し訳ないが、運がいいことに残りの信号には引っかかることなく家まで帰ることができてしまった。
メッセージを開く。
『今日の夜、電話しない?相談したいことがあるんだけど』
珍しい。彼女が僕に相談してくることなんて、この1年間一度もなかった。それに、相談と言っても彼女には大勢の友達や親友もいるだろうに、なぜ僕なのだろうか。
頼まれたからには断れないし、特に今日は用事もなかったので了承のメッセージを送って携帯を机の上に置いた。
電話をしなければ僕の高校3年生の1年間は大きく変わっていただろう。特に苦しむこともなく、平和に青春を謳歌できていたかもしれない。
夕食と入浴を手っ取り早く済ませ、自室で彼女と電話をする予定の21時半まで待機する。
現在の時刻は21時15分。あと少ししたら、彼女から電話がかかってくるはず。
ベッドに置かれた携帯を見つめるたびに、何の相談なのかと身構えてしまう。特に彼女が何かに悩んでいる様子なんて...
「飲み物でも取ってこようかな」
ベッドから床へ足を伸ばそうとした瞬間、携帯から着信音が部屋に鳴り響く。
携帯に表示された名前は、永木彩音。慌てて携帯を手に取り、通話ボタンをタップする。
慌てていたあまり、ベッドの足部分に右足の小指をぶつけてしまった。かなりの痛みに悶えながら、彼女の声をひたすら待つ。
『もしもし、ちょっと早くかけちゃったけど大丈夫そ?』
「あぁ・・・うん。だ、大丈夫」
痛すぎるあまり僕の声は僅かに震えてしまった。
『どうしたの? もしかして、電波悪い?』
「あぁ、そうかもしれないね。ちょっとWi-Fi切ってみるよ」
助かった。何とか誤魔化すことには成功した。慌てた拍子に小指をぶつけたなんてダサすぎる。
『なんか、普段学校で話してる声と違って聞こえる。こんな声してんだね』
「それはこっちも同じだよ。ところで、相談って何なの?」
『最近さ、私たちあまり上手くいってないんだよね〜。何か聞いてる?』
相談内容が何のことなのか、一瞬で分かってしまった。むしろ、電話をする前から薄々気付いてはいた。
「んー、特には何も聞いてないよ」
「そっか〜。とりあえず、暇だからこのまま電話付き合ってよ。寝るまででいいからさ』
「分かった。寝るまでね」
周りが夜に包まれ静かになっていくのに、僕らは益々話に花を咲かせていった。気付けば、時計の長針は0を余裕で回ってしまっていた。