球技大会が終了した日の放課後。僕は颯と彩音と3人で教室に残っていた。理由は、彩音の面接練習の付き合い。
もうすぐ近づいてくる受験に備え、練習に付き合ってほしいと頼まれた僕は断ることなく引き受けた。
ちなみに、颯は僕の付き添いで一緒に残ってくれている。本当に感謝でしかない。
耳にイヤホンを装着して「寝る」と言ってから、颯は一向に起きない様子。机に突っ伏して寝始めてから既に10分は経過していた。
「それじゃ、よろしくお願いします」
「うん。満足いくまで付き合うよ」
「ありがとう」
僕らの間には、前ほどの壁はなく両想いだった頃の距離感へと戻っていた。きっかけはわからないが、球技大会も少なからず関係はしているだろう。
「それよりさ、先に制服に着替えないの?」
彼女は依然として、まだ球技大会の気分が抜け切れていないのか、クラスTシャツのまま。
確かに、制服に比べるといくらかは動きやすいが、時期的に寒くはないのだろうか。半袖、ハーフパンツなんて完全に秋の服装ではない。
「うん。終わってから着替える〜」
「そっか、じゃあ始めようか」
「はい!」
僕が座っている座席の前の椅子だけを反転させて座る彼女。僕らは机一つを挟んで向き合っていた。
まさか、こんな距離感でするとは思っておらず、若干戸惑ってしまう。
「え、この距離でするの? 近くない?」
「いいの〜。気にしない気にしない!」
どうやら面接練習はこの距離感でするらしい。明らかに近い気もするが、彼女がそう言うのなら仕方がない。
近すぎるあまり、彼女の顔が普段よりも近くに感じられる。白くきめ細かい柔らかそうな肌、ふっくらしたピンクの唇、長く伸びたまつ毛。
どれをとっても非の打ち所がないほど、彼女の容姿は洗練されている。遠くからでもわかるのに、近くで見るとより一層魅力的だ。
さすが、学年1可愛いと言われているだけある。いや、校内1と言っても過言ではないかもしれない。
現に僕は18年生きてきて、芸能人以外で彼女より綺麗な人は見たことがなかった。
「・・・くん。原くん! 聞こえてる?」
「あぁ、ごめん。何?」
「私の顔に何かついてる?」
「え、いやついてないよ」
「なんでそんなに見つめてくるのさ。恥ずかしいんだけど・・・」
「あっごめん。つい・・・」
「つい、何?もしかして、うちに見惚れちゃってた?」
「・・・・・」
何も言い返すことができなかった。彼女の言う通り僕は見惚れていたのだから。
「え、本当にそうだったの?嬉しい・・・」
「・・・は?」
嬉しい...今彼女は嬉しいと発した。なぜだ。僕はもう彼女には愛想尽かされていたはずなのに...
「うちね、これ以上原くんを好きにならないように、避けてたの。気付いてたよね。ごめんね、何も言わずに避けたりして。何度も振り回して申し訳ないと思ってる。でもね、やっぱり好きなんだよ。最低だよね本当に。悠斗にも原くんにも申し訳ないって頭ではわかってるのに、ついつい目で追ってしまう自分がいるの。嫌になるよ。私が言うのもなんだけどさ」
彼女の突然の告白に僕の頭は理解が追いつかない。嫌われたと思っていたはずが、本当は違った理由だった。
今更それを素直に喜んでもいいのか、どうしたらいいのかわからない。彼女のことはまだ好きなのは間違いないが...
「ごめん。急にこんなこと言われても困るよね。原くんはもう私のこと好きじゃないと思うし。さ、面接練習お願いします!」
目の前に座る彼女が面接練習を始め出す。僕も練習に付き合おうと思うが、頭の中はぐちゃぐちゃに入り乱れたまま。
次々と彼女の口から発せられる言葉を僕は、呆然と聞くことしかできなかった。
また僕の心を狂わせるのに時間は必要なかった。
もうすぐ近づいてくる受験に備え、練習に付き合ってほしいと頼まれた僕は断ることなく引き受けた。
ちなみに、颯は僕の付き添いで一緒に残ってくれている。本当に感謝でしかない。
耳にイヤホンを装着して「寝る」と言ってから、颯は一向に起きない様子。机に突っ伏して寝始めてから既に10分は経過していた。
「それじゃ、よろしくお願いします」
「うん。満足いくまで付き合うよ」
「ありがとう」
僕らの間には、前ほどの壁はなく両想いだった頃の距離感へと戻っていた。きっかけはわからないが、球技大会も少なからず関係はしているだろう。
「それよりさ、先に制服に着替えないの?」
彼女は依然として、まだ球技大会の気分が抜け切れていないのか、クラスTシャツのまま。
確かに、制服に比べるといくらかは動きやすいが、時期的に寒くはないのだろうか。半袖、ハーフパンツなんて完全に秋の服装ではない。
「うん。終わってから着替える〜」
「そっか、じゃあ始めようか」
「はい!」
僕が座っている座席の前の椅子だけを反転させて座る彼女。僕らは机一つを挟んで向き合っていた。
まさか、こんな距離感でするとは思っておらず、若干戸惑ってしまう。
「え、この距離でするの? 近くない?」
「いいの〜。気にしない気にしない!」
どうやら面接練習はこの距離感でするらしい。明らかに近い気もするが、彼女がそう言うのなら仕方がない。
近すぎるあまり、彼女の顔が普段よりも近くに感じられる。白くきめ細かい柔らかそうな肌、ふっくらしたピンクの唇、長く伸びたまつ毛。
どれをとっても非の打ち所がないほど、彼女の容姿は洗練されている。遠くからでもわかるのに、近くで見るとより一層魅力的だ。
さすが、学年1可愛いと言われているだけある。いや、校内1と言っても過言ではないかもしれない。
現に僕は18年生きてきて、芸能人以外で彼女より綺麗な人は見たことがなかった。
「・・・くん。原くん! 聞こえてる?」
「あぁ、ごめん。何?」
「私の顔に何かついてる?」
「え、いやついてないよ」
「なんでそんなに見つめてくるのさ。恥ずかしいんだけど・・・」
「あっごめん。つい・・・」
「つい、何?もしかして、うちに見惚れちゃってた?」
「・・・・・」
何も言い返すことができなかった。彼女の言う通り僕は見惚れていたのだから。
「え、本当にそうだったの?嬉しい・・・」
「・・・は?」
嬉しい...今彼女は嬉しいと発した。なぜだ。僕はもう彼女には愛想尽かされていたはずなのに...
「うちね、これ以上原くんを好きにならないように、避けてたの。気付いてたよね。ごめんね、何も言わずに避けたりして。何度も振り回して申し訳ないと思ってる。でもね、やっぱり好きなんだよ。最低だよね本当に。悠斗にも原くんにも申し訳ないって頭ではわかってるのに、ついつい目で追ってしまう自分がいるの。嫌になるよ。私が言うのもなんだけどさ」
彼女の突然の告白に僕の頭は理解が追いつかない。嫌われたと思っていたはずが、本当は違った理由だった。
今更それを素直に喜んでもいいのか、どうしたらいいのかわからない。彼女のことはまだ好きなのは間違いないが...
「ごめん。急にこんなこと言われても困るよね。原くんはもう私のこと好きじゃないと思うし。さ、面接練習お願いします!」
目の前に座る彼女が面接練習を始め出す。僕も練習に付き合おうと思うが、頭の中はぐちゃぐちゃに入り乱れたまま。
次々と彼女の口から発せられる言葉を僕は、呆然と聞くことしかできなかった。
また僕の心を狂わせるのに時間は必要なかった。