季節も秋に変わり、街は紅葉に包まれ、時を重ね続けていた。
夏休みが終わり、二学期が始まる。高校3年生の二学期はもう受験期真っ只中である。
それでも、僕は受験に本腰を入れることができずにいた。原因は、言わなくてもわかるだろう。
僕の感情一つを動かすのは、彼女のことしかなかった。
夏休みを明けた辺りから、急速に彩音と悠斗は今までの蟠りが嘘だったかのように、僕の目の前に現れた。
普段教室でも話さなかった2人が、楽しそうに会話をしている。それだけで、僕は言葉を失った。正確には、居場所そのものが失われていたのだろう。
僕は完全に除け者扱いのような存在だった。彼女が僕に寄せていた好意は好きとかの恋愛感情ではなく、ただ人肌が恋しくて誰でも良かったのではないだろうか。
そう考えると、僕の過ごしてきた数ヶ月間は非常に無意味で、悲しげな恋だったのだと思い知らされる。
初めからこうなる未来は見えていたというのに、それでも彼女を愛した僕は結局ひとりぼっちになった。
夏休み前まで僕に向けられていた笑顔が、悠斗に向けられる。本来はそれが正しいものである。それなのに、胸の奥底から湧き上がる衝動が抑えきれない。
いつからだろう。僕がこんなにも彼女に惚れてしまったのは。一度、振られた時にキッパリと諦めておけば良かったのかもしれない。
甘い蜜を吸おうとした結果がこれだ。蜜は吸えなく、おまけに蜂に毒針を刺された気分だ。不愉快どころの話ではない。絶望そのもの。
夏休みに一緒に買いに行ったのだろう。2人が登下校時に使用しているリュックが同じことに僕は気付いてしまった。
周りのクラスメイトも気付いていただろうが、みんなと僕とでは感じた気持ちは全く違うんだ。
僕には、嫉妬心や羨望といった人の醜い感情部分しか表れることがなかった。
こんな自分が嫌なのに、彼女のことを目で追ってしまう自分がいるのも事実。
今日も彩音と悠斗は2人揃って教室を出て下校していった。それを眺めることしかできない僕。
あぁ、なんて僕は惨めなんだろうか。言い寄られ、溺れて、失って、最後は手が届きもしなくなる。
こんなことならいっその事、ラインをブロックしてしまいたい。机の上に置かれた携帯から彼女とのトーク画面を開く。
すぐに返ってきたラインが、今ではすっかり数時間後が当たり前。それに、内容も『うん』や『そうなんだ』といった寂しい言葉ばかりが並べられている。
ブロックの文字を押してしまえば、いくらか僕は楽になれたのだろうか。結局は自分の罪を精算しきれず、逃げているだけにすぎないのかもしれない。
自分が嫌になる。恋によって狂わされている自分と、まだ彼女のことを好きな自分が本当に嫌いだ。
結局、僕は彼女のラインをブロックすることができないまま、虚しくなるだけのラインを待ち続けた。
僕の心の弱さが目に見えて感じ取れた瞬間だった。
夏休みが終わり、二学期が始まる。高校3年生の二学期はもう受験期真っ只中である。
それでも、僕は受験に本腰を入れることができずにいた。原因は、言わなくてもわかるだろう。
僕の感情一つを動かすのは、彼女のことしかなかった。
夏休みを明けた辺りから、急速に彩音と悠斗は今までの蟠りが嘘だったかのように、僕の目の前に現れた。
普段教室でも話さなかった2人が、楽しそうに会話をしている。それだけで、僕は言葉を失った。正確には、居場所そのものが失われていたのだろう。
僕は完全に除け者扱いのような存在だった。彼女が僕に寄せていた好意は好きとかの恋愛感情ではなく、ただ人肌が恋しくて誰でも良かったのではないだろうか。
そう考えると、僕の過ごしてきた数ヶ月間は非常に無意味で、悲しげな恋だったのだと思い知らされる。
初めからこうなる未来は見えていたというのに、それでも彼女を愛した僕は結局ひとりぼっちになった。
夏休み前まで僕に向けられていた笑顔が、悠斗に向けられる。本来はそれが正しいものである。それなのに、胸の奥底から湧き上がる衝動が抑えきれない。
いつからだろう。僕がこんなにも彼女に惚れてしまったのは。一度、振られた時にキッパリと諦めておけば良かったのかもしれない。
甘い蜜を吸おうとした結果がこれだ。蜜は吸えなく、おまけに蜂に毒針を刺された気分だ。不愉快どころの話ではない。絶望そのもの。
夏休みに一緒に買いに行ったのだろう。2人が登下校時に使用しているリュックが同じことに僕は気付いてしまった。
周りのクラスメイトも気付いていただろうが、みんなと僕とでは感じた気持ちは全く違うんだ。
僕には、嫉妬心や羨望といった人の醜い感情部分しか表れることがなかった。
こんな自分が嫌なのに、彼女のことを目で追ってしまう自分がいるのも事実。
今日も彩音と悠斗は2人揃って教室を出て下校していった。それを眺めることしかできない僕。
あぁ、なんて僕は惨めなんだろうか。言い寄られ、溺れて、失って、最後は手が届きもしなくなる。
こんなことならいっその事、ラインをブロックしてしまいたい。机の上に置かれた携帯から彼女とのトーク画面を開く。
すぐに返ってきたラインが、今ではすっかり数時間後が当たり前。それに、内容も『うん』や『そうなんだ』といった寂しい言葉ばかりが並べられている。
ブロックの文字を押してしまえば、いくらか僕は楽になれたのだろうか。結局は自分の罪を精算しきれず、逃げているだけにすぎないのかもしれない。
自分が嫌になる。恋によって狂わされている自分と、まだ彼女のことを好きな自分が本当に嫌いだ。
結局、僕は彼女のラインをブロックすることができないまま、虚しくなるだけのラインを待ち続けた。
僕の心の弱さが目に見えて感じ取れた瞬間だった。