毎日が雨降る時期も終わり、もうすぐギラギラと太陽が僕らを照らしつける季節がやってくる。

 夏は嫌いだ。寒さは北海道以外に住んでいる限り、服を何枚も着さえすれば耐えられる。

 でも、暑さは別。服を脱いでも暑いし、だからと言って服を着ないで歩いたらそれはそれで社会的問題に引っ掛かってしまう。

 おまけに僕は、昔から汗を人よりもかいてしまう体質なので、本当に夏はしんどい。

 軽く歩いただけでも汗が流れ落ちてくるのが、昔から嫌で仕方がなかった。特に夏場の体育は悲惨だ。

「おーい、文化祭の準備するよ」

「うん。今行くよ」

 友達から呼ばれて教室へと戻る。教室中で文化祭の準備が進められている。僕らの学校の文化祭は基本的に夏休みに入る前。

 夏休み後には、球技大会が待っているのでそれに被らないように計画されているらしい。

 3年生は最後の文化祭、球技大会ということもあり、他の学年に比べるとやはり熱量そのものが全く違う。

 毎年、文化祭の前日は体育館のステージ上で3年生が、各クラス練習を重ねてきたダンス発表というものがある。

 基本的に与えられた制限時間内であれば、どんなパフォーマンスでもいいらしいが、僕はこれが1番嫌だった。

 去年まで観客側として、見ている分には楽しかったが、いざ自分が人前で踊るとなると嫌で仕方がない。

 ダンスも経験がない上に、人前に立つことがあまり得意ではない僕からすると、地獄のようだ。

 クラスの女子たちが最大の見せ場だと、意気込んでいる側で男子たちはほとんどが意気消沈していた。

 一部張り切っている男子もいたが、大半が乗り気ではなかったのは目に見て感じられた。

 結局、僕らのグループは最後までどのダンスを踊るのか決まらず、焦る羽目になるのだがそれはそれで青春だったのかもしれない。

 完成度で言えば、45点くらいだっただろう。

 もうすぐ夏がやってくる。高校3年生に取って最後の夏が...

 できるならこの頃に戻りたいな。受験、恋と1番青春していた最後の真夏をもう一度。