沖縄県は、日本列島の南に位置する島国だ。

 独自の文化が息づいているのは、昔はそこが琉球という名のもと、日本とは違う一つの国としての歴史を持っていることも関係しているのだろう。

 沖縄本島には石垣や宮古といった諸島が点在しており、戦後はアメリカとして統治されていたが、一部の米軍基地の土地を残して日本に返還され、現在に至る。

 日本に霊能者、イタコ等があるように、先祖供養を大事にする沖縄では古くからユタと呼ばれる者がおり、目に見えない問題を解決したり相談に乗ってくれたりするのだ。

 ――幽霊は本当にいるのか、あの世は本当に存在するのか。

 といった内容より、生活の一部として沖縄県民は先祖や神を敬う気持ちが強い。

 そう、とくに縁も興味もない仲村渠は、そう思う。

 家を建てる前に、土地の神様に挨拶をするためユタを呼ぶのは常識だった。お盆になると、先祖や祖父、祖母らが帰ってきていることを祝って、親族で集まり、ウンケー、ナカビ、ウークイと続き、迎えと見送りを仏壇を持った家で行うのも普通だ。