わたしはその中を1人颯爽と歩く。


卒業生ということは、わたしと同じ歳だ。

わたしと違って、充実な3年間の高校生活を終えて笑顔が絶えない学生たち。


ついこの間までのわたしだったら、周りと比べて自分を悲観し、逃げるようにこの場から離れていたことだろう。


だけど――、もう大丈夫。


わたしの一度止まってしまった時計の針はもとに戻すことはできない。

でも、進めることはできる。


わたしには、歩むことができる未来があるから。


わたしは4月から、通信制高校に通うことにした。

そこを卒業したら、医学の道へ進もうと思う。


わたしなんかが医者や看護師になれるかわからないけど、やってみないことにはなにもわからない。

だって、あのときああしておけばよかったと後悔はしたくないから。


それを教えてくれたのは、さっちんだ。