もう学校なんて行きたくないと誓った。


しかしさっちんは、学校に行きたくても行けなかった。

休み時間にクラスメイトと些細な話をすることすらできなかった。


わたしは、何度か死ぬことを考えたことがある。

でも、さっちんは抗って抗って抗ってでも生きることを諦めなかった。


陽は沈み、夜になる。

この夜が明ければ、また何気ない1日の始まりだ。


だけど、それはわたしにとってということであって、さっちんにとってはどれほど望んでも迎えることができなかった貴重な1日。


わたしはそんな1日を、またなにもせずに無駄に過ごすのだろうか。


そう自分に問いかけたとき、自ずと答えは出た。



桜のつぼみが膨れる、3月のとある暖かい日のこと。

卒業シーズンで賑わう街には、卒業証書が収められているであろう証書筒を手にする学生たちで溢れていた。