【ごめん。最近忙しくて、たぶん来週も会えないと思うんだ】


忙しいと言っていたのは、急遽入院することが決まったから。

退院の目処もなかったため、さっちんは次の約束をしなかった。


【ごめん、さっちん!わたしのバッグの中に、さっちんのイヤホンの片方が入ってたのを今気づいたの!ずっと探してたよね!?会って返したいんだけど、いつが空いてる?】


さっちんのイヤホンを見つけて、わたしがこのDMを送ったころ――。

さっちんはすでに危篤状態だった。


そして、わたしにDMを返すこともないまま――。

さっちんは眠るように息を引き取った。


「まさか急に病状が悪化するなんて、幸歩自身も思ってなかったと思うの。きっと、またみのりちゃんと会える日を楽しみにしてたはず。…だから、なにも言わずに逝ってしまって…本当にごめんね」