『だって、あとからやっぱりあっちにしとけばよかったってなるのいやでしょ?』

『それは…そうかもだけど』

『あたし、後悔するのだけはいやなんだよね』


あれは、さっちんが自分に言い聞かせていた言葉だったんだ。


遠くへは出かけられないから、外に出れてもマンションのそばの杉浦公園まで。


ほとんどを部屋の中で過ごしていたさっちんは、窓から見える移りゆく空をスマホで撮ることを日課にしていた。

その撮った写真というのが、SNSに投稿されていたものだった。


あの空の写真をきっかけに、さっちんが近くに住んでいることがわかって、わたしたちは出会うことができた。


さっちんが体調を崩したのは、最後にわたしと会ったすぐあとだった。

急に会えないとDMしてきたのはそれが理由。


【わたしはべつにいつでも大丈夫だよ。それじゃあ、1週間予定ずらす?】