「お邪魔します…!」


わたしもさっちんのお母さんのあとをついていく。


廊下を抜け、リビングに入って、リビングから続く和室へと入っていくさっちんのお母さん。


「幸歩、よかったわね!」


さっちんのお母さんの声が和室から響く。

わたしもそこへ顔を出した。


「さっちん、久しぶ――」


と言いかけて、…わたしは言葉に詰まった。


「お友達が家に遊びにくるって、初めてじゃない?ねぇ、幸歩」


さっちんのお母さんがそう言って語りかけるのは、桐でつくられた箱のようなもの。

そこには、さっちんの笑顔の写真が飾られていた。


「さっちん…?」


今の状況が理解できなくて、わたしは呆然としながら桐の箱――仏壇の前にへたり込んだ。


そんなわたしの姿を見て、さっちんのお母さんは申し訳なさそうな表情をしてわたしの顔をのぞき込む。