〈…幸歩の?〉

〈はい!幸歩ちゃんの大事なイヤホンがわたしのバッグの中に紛れていて…。それを返しにきました〉

〈イヤホンを届けに…わざわざ?すぐに開けます…!〉


ようやく見つけたさっちんの家。

もう、名字が同じだけの『高木さん』じゃない。


7階までくるのは、本当に疲れたしつらかった。

だけどわたしは、やり切ることができた。


さっちんに、ここまでのくるのすごく大変だったよと笑い話にして伝えよう。


ドアを開けたのは、ショートヘアの女の人。

わたしのお母さんと同じくらいの年齢のようだから、おそらくさっちんのお母さんだ。


「あなたがみのりちゃんなのね。幸歩からよく話は聞かされていたわ」

「さっちんが…わたしのことを?」

「ええ。あなたと遊ぶの、すごく楽しみにしていたから」