でも、このマンションのどこかにさっちんはいる。


そう自分を奮い立たせて、次の部屋のインターホンを押した。


快く対応してくれる人。

関係ないとわかったら、話の途中でインターホンを切る人。

留守なのか、そもそも応答のない部屋。


しかし、未だにさっちんの家にはたどりつけていない。


インターホンを押し続けて、4階まできた。


ここでようやく、有力な情報が手に入る。


〈高木さん?それなら、この階の411号室よ〉

〈本当ですか!?ありがとうございます!〉


同じ4階の部屋の人が『高木』という名字のお家を知っていた。


わたしは他の部屋を飛ばして、まっすぐに411号室へと向かう。


ピンポーン…


〈…はい?〉

〈突然すみません…!わたし、乾みのりと申します。さっちん――…あっ、高木幸歩さんの友達で…〉