それが本音。


だけど、さっちんに会ってこの大事なイヤホンを返したい。

その気持ちのほうが大きかった。


引きこもってから初めて知り合った、わたしの大切な友達。

こんなわたしを受け入れ、また遊ぼうと言ってくれたさっちん。


そのおかけで、わたしはこうして歩み出すことができた。


そんなさっちんと、このままなにもなくずっと会えないのは…いやだ。

会えないなら、わたしが探し出す。


わたしはそう心に決めた。


そして、震える指で101号室のインターホンを鳴らす。


ピンポーン…


〈はい〉

〈あ…あの!高木さんのお家でしょうか…?〉

〈…え、違いますけど〉

〈し、失礼しました…!〉


そんなすぐにさっちんの家が見つかるとは思っていない。

だけど、当たり前とはいえ冷たい対応をされ、早くも心が折れそうだった。