わたしの満面の笑みに、お母さんは一瞬キョトンとした顔を見せた。

だけど、すぐに目を細めて微笑む。


「そう、よかったわね。散歩?」

「ううん。友達に会いに行ってて」

「友達?」

「うん。スマホのゲームで仲よくなったコなんだ」


そこまで言って、わたしははっとした。

顔もわからないようなゲームの場で知り合ったコに会いに行ったとなると、お母さんは心配するじゃないだろうかと。


「『さっちん』っていうんだけどね…!わたしと同い年で、今は学校に行っていないみたいなんだ!…だから、話がすごく合って…」


まるで言い訳のように、境遇が同じで自然と仲よくなったということをアピールする。

もしかしたら、『そんなところで出会った友達とはもう会わないこと』なんて言われるかもしれないと思ったから。