わたしがそう打ち明けると、お母さんはやさしく頭をなでた。


「そうね。久しぶりなんだからドキドキして当たり前よね。だけど、そうまでしてみのりが出かけたい理由を見つけたっていうのはいいことなんじゃないかしら」

「…いいことなのかな。こんなわたしが出歩いて、もし近所の人に見られたら、お母さん…あとでなにか言われるんじゃないの?」


昔は、会えばあいさつするくらいの両隣の部屋のおばさんたち。

久々に会ったら、きっと『だれ?』と思うだろうし、『あ〜!もしかして、乾さん家の…』とあとでヒソヒソと噂をすることだろう。


人との関わりを断ったわたしは、きっと愛想よくあいさつもできない。


そうしたら、『この前久しぶりにみのりちゃんを見かけたけど、あいさつもしてもらえなかったわ〜』なんて言って、お母さんに皮肉交じりの無駄話をしてくることは容易に想像ができた。